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読み物あれこれではスタッフが各々勝手きままな読書感想文を書いております。暴言・無知・恥知らず・ご意見はいろいろお有りでしょうが、お気に召した方だけお読み下さい。
   
Oct.2021
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ひと 小野寺史宜

この本を書いている小野寺さんという人、おそらく心根の優しい人なんだろう。
優しいというよりも、人の気持ちに気付ける人と言った方が妥当か。

この話の主人公である聖輔青年、若干二十歳。
高校二年生の時に父を交通事故で亡くし、その3年後、東京の大学在学中に母を亡くす。
故郷の鳥取へ帰ってあわただしく葬儀、その後、遺品もことごとく処分。母が住んでいた県営住宅も退去。

母の残した遺産は自らの保険金100数十万。
そのお金が一世帯(と言っても彼一人だが)の全財産。
そんな彼から、母親に金を貸したと50万円をふんだくる、母の従兄弟だという初対面の男。

東京で一人暮らしをする若者には100万も貯金していない人の方が多いかもしれない。

しかし彼にはいざとなった時の戻るべき場所がいきなり無くなったのだ。
天涯孤独。
頼るべき親戚無し。

彼は大学を辞める選択をする。

財布の中身が55円の時にぎりぎり50円のコロッケを買おうと立ち寄った惣菜屋で、アルバイト求人の張り紙を見て、そこで働くことになる。
そのコロッケも最後に残った一つで見知らぬお婆ばあさんにどうぞ、と譲る彼。

それに比べて、母の従兄弟の男は、50万で味をしめたのか、さらに30万寄こせ、と東京のアパートにまで現れる。
なんてやろうだ。彼の全財産を知っていながらだけにとんでもないやろうだと誰しも思うだろう。

惣菜屋のある商店街でたまたま出会った、高校時代の同級生の青葉という女子とその元カレという慶応大学の高瀬という男。
この二人の話もなかなか興味深い。

彼女は高瀬のこういうところが我慢ならなかったというところ。
例えば、電車の優先座席に平気で座る。ここまではままあるかもしれない。
目の前に初老の夫婦が立った時に、青葉は高瀬の肘をつつくが、彼は平気で「坐りたいですか?」と初老の男女に聞くのだ。
他にも赤信号の横断歩道で車は来ていない。横断歩道の反対側には信号が変わる人がいるのに彼は平気で渡ってしまう。
彼女はこういうのが許容できない。

なるほどなぁ、と思う。
横断歩道なんぞは案外やってしまっているかもしれない。
横断歩道の反対側なんてあまり気にした事が無かった。

だから、そういうことに気が付ける人にしか書けない本なのだ。
高瀬君の言う事はいちいち最もなところもあるが、彼には絶対に気付けない。

主人公の聖輔君はもちろん気付ける人だ。
誠実さと勤勉さ、そして人の気持ちに気が付ける優しさ、それがあれば、誰かしら「頼っていいんだよ」と声をかけてくれるようになる。

半年前、一年前には全く見ず知らずの人だったのに、店の将来さえ託したくなるほどに信頼というものは醸成されていく。
天涯孤独。でも一人ぼっちじゃなかった。

いい話を読ませてもらいました。

ひと  小野寺 史宜著
29/Oct.2020
みつばの郵便屋さん 小野寺史宜

郵便屋さんという職業、あまりに風景に溶け込みすぎていて、その人そのものにスポットがあたることが少ない職業の一つだろう。

登場する郵便屋さんは、小さな親切の積み重ねで、皆を幸せにしていく。

あるベランダの洗濯物が風で飛ばされて行ったら、たいていの人はどうするか。
「あらら」とは言ってもわざわざ届けに行ったりはしない。
郵便屋さんが遭遇したのは、飛んで行った女性ものの下着だった。
それはさすがに拾って届けに行くのははばかられ、彼は、洗濯物が飛んで行きましたよ、っと伝えるにとどめる。

ちょっとした気遣いだ。

荷物の誤配が有ったので取りに来い、という電話。
行ってみると、郵便屋さんの荷物ではなく、他の宅配業者のの荷物だった。
彼は嫌な顔一つ一つしないが、本来の持ち主に運んでよ、という依頼だけはお断りする。

はがきなど着いて当たり前。
手紙など届くのが当たり前。
それはすごいことだ、と思われずに当たり前と思われることのすごさ。
それは彼一人の成果ではなく、永年の郵便屋さんたちが築いて来た信用のなせる業だ。

何やらほっこりとした気持ちにさせてくれる本である。

とはいえ、実際には時間指定できっちりと届けに来る宅配業者さんたちの方がすごい、と思う事しばしばなのだが・・
いえいえこれは蛇足でした。


みつばの郵便屋さん  小野寺 史宜 著
15/Dec.2016
ひりつく夜の音 小野寺史宜

読後即の感想としては、もうJAZZでお腹いっぱい、という感じかな。
そんなにJAZZに詳しいわけでも、ないのに。

主人公は40代後半のJAZZのクラリネット奏者。
ほとんど活動らしい活動はしておらず、週に数回教室で教える程度。

この本の前段からはかなり節約生活の知恵が満載。
豆腐はそのまま醤油もかけずに食べ、最後はパックの中に残った汁まで飲み干す。

平日の午前に行くバイキング、ここでの常連さんと後に親しくなっていくのだが、ここで2時間3時間かけてゆっくりと新聞を隅から隅まで読みながら、何度も何度も取りに行って、残さず食べ、その日の昼食は抜く。

彼の一番のお気に入りがに食パンにちくわを挟んだだけ、という昼食。

その彼が、昔の彼女の息子と知り合ってから変わり始める。

いきなり、警察から引き取りに来て下さいますか?
と本人と初対面の人に電話がかかって来るところも驚きだが、2回も引き取りに警察へ向かってしまう彼もかなりのお人良しだ。

その青年は、真っ直ぐなだけなのだが、その真っ直ぐさがトラブルを招くという危なっかしい男。

彼には天性のミュージシャンとしての素質が有り、彼の弾くギターに主人公氏のクラリネットも触発されて行く。

特に音楽に関係の無い人間にもこれだけ読ませてくれるんだから、JAZZ好きの人なんかにはたまらない一冊なんだろうな。


ひりつく夜の音  小野寺 史宜 著
21/Nov.2016
ROCKER 小野寺史宜

主人公から「エイくん」と呼ばれる高校教師。
こういう高校教師最高だと思います。
何と言ったって相手にしているのは高校生。
その高校生の素行がどうだろうが、本来そんなもの高校の先生の知ったこっちゃないだろうに。
何か事ある毎に教師と学校がマスコミに平謝りする風景をあまりにも見慣れてしまっていることに気がつく。

この「エイくん」は、そういう意味では本来の高校教師なんじゃないのだろうか。
部活動の監督を依頼されたって、そんなことが俺の知ったことか!と一蹴。

部屋にはエッチビデオが散乱していようが、そこへ高校生が訪ねて来ようがおかまいなしだ。

それでもなんだかんだとストーカーをしている高校生が結局真っ当な高校生になってしまうのだから、プライベートはノータッチなようで、結局その影響力が発揮されている。

主人公はその高校教師のイトコにあたる女子高校生なのだが、この人の個性も強い。
人との間に壁を作ってその中には容易に立ち入らせない。

この主人公と「エイくん」との掛け合いがテンポも良くなかなか愉快で楽しい。

「人に教えてもらうことに意味はない」
などとギターを教えることをいろいろな屁理屈をこねて拒否したりするのだが、案外に正鵠を得ている発言だったりする。

主人公もまだ若いので将来何を目指すのか、などの考えはない。
この高校教師も何かを目指しているわけではない。
せいぜい場末の喫茶店のマスターになれればいいぐらいに思っている。

そこへ異質な登場人物が現れたりする。
女性格闘家。

「何かを目指す人間というのは、やっぱ違うんだよ」
と高校教師。

この人、発言だけを聞いているといい加減極まりないように思えてしまうのだが、いつもツボをちゃんと押さえているのには感心する。

結婚詐欺師を見抜いてしまったり・・・etc。

ちなみにこの本、ポプラ社小説大賞優秀賞受賞作なのだそうだ。

この本を最後まで読むとそのあと味の良さと共に気がつかないうちに「スタンド・バイ・ミー」を口ずさんでいる自分に気がついたりする。



ROCKER  小野寺史宜 著 第3回ポプラ社小説大賞優秀賞受賞作


01/Feb.2010
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