読み物あれこれ(読み物エッセイです)
読み物あれこれではスタッフが各々勝手きままな読書感想文を書いております。暴言・無知・恥知らず・ご意見はいろいろお有りでしょうが、お気に召した方だけお読み下さい。
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本屋さんのダイアナ 柚木 麻子 著
対照的な家庭で育った女性二人の物語。 方や母子家庭で母親は水商売、帰りも遅く家でも学校でもひとりぼっち。 方や恵まれた家庭で育ったお嬢様。 小学時代に大の仲良しになり、それぞれが自分に無い環境をうらやましがりながらも、一人が中学受験をする時から疎遠になる。 それぞれの生き方をして来た二人が大人になって再会するという話。 二人に共通するのは本が大好きなところ。 「赤毛のアン」の現代バージョンとの謳い文句だが、そもそもの「赤毛のアン」を読んだ記憶が無い。 母子家庭の方の名前がダイアナ。 母親がティアラで娘の名前はダイアナ。 ティアラは源氏名だが、娘のダイアナは本名。 きょうびの話、難解な漢字をあてがって外国人っぽい名前は珍しくないが、この母親、あろうことか「大穴」と書いて「ダイアナ」と名付けている。 いくら周囲が「子供に名前をつけるのに親が子供の幸せを望んで命名するのは当たり前だ」と言ったところで、いくら「ダイアナ」という名前に思い入れがあると言ったって、「大穴」はないだろう。 他にいくらでもまともな当て字があったろうに。役所はカタタナの名前だって受け付けてたんじゃなかったっけ。 小さい頃からずっと髪の毛を母親に金髪に染められているぐらいなんだから、カタカナで通しゃ良かったのに。 ストーリーの中では「ダイアナ」と書かれているが、実際には「大穴」さんだよ。そのカタカナを「大穴」に置き換えてしまえば、物語の印象が思いっきり変わりそうな気がする。 そのそもダイアナと読む人の方が少ないだろうし。 内容についてもう少しふれてみるつもりが、結局名前のことばかりになってしまった。 05/Feb.2016 盤上の向日葵 柚月裕子 著
一昨年、昨年の藤井聡太氏の活躍により、将棋の世界がニュースに登場する頻度がかなり増えたが、日本のプロ棋士は200人にも満たない。 本気でプロを目指すなんていうのは東大よりもはるかにはるかに狭き門を潜らねばならない。 埼玉の山中で発見された白骨遺体が手にしていたものは、日本でたったの6つしか作られていないという名人駒、名駒中の名駒で、将棋指しなら誰しも一度は拝んでみたいと思う一品。 そんな高価で貴重なものをなぜ白骨遺体に持たせたのか。 殺人だったとしても、殺す相手にそんな貴重なものを持たせるなど考えられない。 そこで、捜査にあたるのが、元奨励会所属で一度は棋士を目指したという若手捜査員と、気難し屋のベテラン捜査員。 彼らの捜査の話と並行して、ある少年の生い立ちが語られる。 父親は飲んだくれの弱いばくち打ち。 マージャンではカモにされるほどに。 少年は父親に暴力を振るわれ、食事も満足に与えられず、毎朝新聞配達で家計を支える。そんな彼に将棋の手ほどきをしたのが、ご近所の元教育者の先生。 その先生夫婦から養子縁組の話を持ち掛けられるのだが、その時に受けていれば彼の人生は大きく変わったことだろう。 いや、そうでもないか。 飲んだくれで博打に負け続けるオヤジの元に居ながらも東大へ入れてしまうんだから。 強いはずの東大将棋部に彼の相手になる者はおらず、たまたま入ってしまった将棋クラブで再度彼の将棋熱に火が付く。 この話、捜査の二人はいつかは彼に近づくんだろうなぁと思いつつも、なんでそうなった?が最後までわからない。 将棋ファンならずともなかなか楽しめる一冊です。 ![]() 19/Apr.2019
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