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読み物あれこれではスタッフが各々勝手きままな読書感想文を書いております。暴言・無知・恥知らず・ご意見はいろいろお有りでしょうが、お気に召した方だけお読み下さい。
   
Nov.2019
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ひとつむぎの手 知念 実希人

四日間で二度読みしてしまった。
二回目に読んだ時もやはり最後のエピローグのところで目をうるうるさせてしまった。

今の世の中「働き方改革」大はやりで、残業するなんてもってのほか、休日に仕事へ行くなんてもってのほか。
そんなご時世と真反対な働き方をするのがこの話の主人公の医師。

彼は大学の医局の心臓外科の医師。
1週間の内、家に帰れたのはたったの1日。
当直でも無いのに、重篤な患者が居れば病院に泊まり込む。
決して手を抜かない。
というより、要領が悪い。
というより人任せに出来ないタイプ。

そこまで働き続けるモチベーションの源は一流の心臓外科医となって一人でも多くの人命を救うこと。
そのためにはいつまでも下働きばかりをするのではなく、最も開胸手術の多い病院へ出向して手術の腕を磨くこと。
そしてその病院へ誰を出向させるのかを決めるのは主任教授。

心臓外科などと一般の外科に比べたらはるかに患者数が少ないだろうに何故この科が最悪とよばれるほどの殺人的忙しさなのだろう。それはこの主任教授が有名な心臓外科医の権威でそこで手術を受けたいという患者が集まるからだろうか。
殺人的忙しさに耐えられなくなり、どんどん医局の人が減って行き、残った医者の負担が更に大きくなるという負の連鎖なのだろうか。
まぁ、双方なんでしょう。

その現役でさえどんどんやめて行く心臓外科へ入局先をこれから決める研修医を一度にに三名引き受け、その指導担当に主人公氏が当たることに。
三名の内二名を入局させられれば、希望の病院への出向を決めてくれる、と言う言葉をもらえば、どんなに忙しかろうと、引き受けないわけには行かないだろう。

研修医に対する、初っ端の対応に失敗して、3人との間に壁が出来てしまうのだが、彼ならではの真摯な取り組みを見て、一人、また一人と彼に心酔して行く。

なんにせよ、教え子の医者に「あなたの様な医者になるためにこの道を選んだ」などという言葉をもらえるほど幸せなことは無いだろう。
自らが目指していた一流のオペが出来る心臓外科医になる事よりもその価値は大きいだろう。


ひとつむぎの手  知念 実希人著
20/Nov.2019
火のないところに煙は 芦沢央

怪談話、ホラー話でありながら、ミステリとしてランキング入りしている。

確かに怪談話やホラーものとはちょっと違い、単に怖い話を集めたわけではなく、それぞれの話の終わりに、実は・・・みたいな話が多い。


最後に落ちがついている。
単に怖がらせておしまいではなく、その謎解きが入っていたり、新たな事実が分かったり、そういうところが、大してインパクトのある話でも、魅力ある話でもないのに、割りと一気に読めてしまう。

主人公氏は編集者転じて作家となった男。
元々はホラー作家じゃなかったのにそういう依頼が来て、つい旧友の話を書いてしまう。それをきっかけにホラー話が舞い込んで来る様になり、そういう舞い込みを元に二話目、三話目と続いて行く。

二話目は、同業の女性ライターから聞いた話。
自分の電話番号を出版社から聞き出し、お祓いをしてくれる人を紹介してくれる人を紹介しろ、としつこく、食らいついて来る女。

あと不動産がらみの話が続く。
三話目の「妄言」は隣人にこんな人が居たら怖い。
引っ越したばかりの家の隣のおばさんが、主人の留守中に妻と親しくなり、自分をどこどこで見かけた、女連れだった・・などと真顔で妻に吹き込んで行く。
あまりの真剣さにまるまる嘘を言っている様にはどうにも見えない。

これも単なる妄言を吐く人では無かった、こういうところがやはり一般的なホラーものとは違うところなんだろう。

いくつもの小編をバラバラに集めて一冊にしているのかと思いきや、実は一話目に登場する謎の占い師と繋がっているのではないか、という疑問を敢えて残したママにする。

そんなこともあってホラー話のフリをしたミステリにジャンルされたのだろうか。
でも、ミステリとも言えない気がするな。


火のないところに煙は 芦沢 央著
14/Nov.2019
    1

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