読み物あれこれ(読み物エッセイです)
読み物あれこれではスタッフが各々勝手きままな読書感想文を書いております。暴言・無知・恥知らず・ご意見はいろいろお有りでしょうが、お気に召した方だけお読み下さい。
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天才アラーキー写真ノ法 荒木経惟 著
アラーキーこと荒木 経惟さんが写真について、カメラについて語っている本です。 『事件の火事じゃないときの心の火事を撮る。』なんていう一節が印象的。 写真やカメラに詳しくなくても楽しめる一冊です。 アラーキーの写真というと女性の写真のイメージが強いですが、本の間に挟まれている写真には、海外の街角で笑う親子の写真や、政治家のポートレート、風景写真など幅広い作品を見ることができます。 写真を撮るときには服装が大切だと語るアラーキー。 街やその場の雰囲気に馴染んで、被写体となる人にカメラを意識させないようにしなくてはいけないそうです。 突然カメラを向けられたら、変なポーズをとったり引きつった笑顔になったりしそうですが、アラーキーの写真では偶然居合わせたような人たちが家族に笑いかけるような笑顔を見せています。 また、政治家のポートレートを見ても、選挙のポスターやテレビで見る表情とは違って、一瞬の不意をつかれたような、素を出してしまった瞬間が捉えられているように見えます。 それは果たして服装の効果なのか、なんなのか。 数年前に偶然アラーキーに会ったことがあります。 独特の雰囲気と、個性的な風貌が遠くからでもかなり目立って見えました。でも近くへ行くと、にっと笑った笑顔と、握手したビックリするくらい大きな手にぎゅっとぐいっと引っ張られて、アラーキーの世界に吸い込まれていきそうでした。 あのときの服装は果たして街に馴染んでいたのかは、はっきり思い出せません。 そして周りの雰囲気に馴染んでいたといより、周りの雰囲気を変えたというのが正しいような気もします。 でもアラーキーの言うように、まずは服装を変えてみることで、自分の意識がその場の人や雰囲気に溶け込みやすくなるのかもしれません。 この本を読み終えると、アラーキーが写真を撮るときに大切にしていることや、どうしたら被写体と一体となった写真が撮れるのかがちょっとわかったような気がします。 でも真似をしたからといって、写真がうまくなるわけではないのでしょうが。 アラーキーいわく、アラーキーは身体がカメラで目がレンズになっているそうですから。題名にも「天才」と入っちゃっています。 それでもやっぱり、写真って面白そう、できるかもしれないと思わせてくれる楽しい本です。 17/Mar.2011
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