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読み物あれこれではスタッフが各々勝手きままな読書感想文を書いております。暴言・無知・恥知らず・ご意見はいろいろお有りでしょうが、お気に召した方だけお読み下さい。
   
Jul.2019
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府中三億円事件を計画・実行したのは私です。 白田

昭和を代表する大きな事件で迷宮入りとなった事件の代表格は、三億円事件とグリコ森永事件だろう。
双方とも死者が出ていない。あまりにあざやかすぎて、国民感情から言っても犯人のことを嫌い、という人は少なかったのではないだろうか。
双方とも、いろんな憶測がなされ、真犯人はやつだろうなどという書き物も多数。
特に三億円事件に関してはドラマ化、題材にした映画も多数ある。

その片方の三億円事件の犯人は私です。
と今になって言い出した男が居て、本にまでなってしまった。
そりゃ、読むでしょう。

この本、会話ばかりで構成されているので、非常に短時間で読めてしまった。

読後実感、これは実行犯による独白ではなく、創作そのもの。
というもの。

あと、全く物足りないのは、この話の終わり方だろう。

文中でもキーとなるのは、奪取することと奪取した後の保管場所の確保、とこの2点をあげているのに。この2点目については全く触れられていない。
奪取して終わりだ。

創作だというのは、白田氏がいくらこの時期の事を鮮明に覚えていると言ったところで、事件から50年もたった後に、彼女との会話、大学の運動家連中との会話。友との会話。これだけ見事に再現できるわけないだろう。

彼が犯人だとしても、おおよそこんなやり取りをしただろうとの推測で創作したということなんだろう。というよりほとんど全て創作になっているはずだ。

一年前の会話だって一週間前の会話だって音声でも取ってない限りは、どんどん記憶は上書きするだろう。
文章などにしたら、全く創作に近いものが出来あげるに決まっている。
ただ、上書きされたとはいえ、それが彼の50前の記憶なのだ、と言ってしまえばそれはそれで彼にとっては真実かもしれないが・・。

この犯行、白田氏の言う通り、三億円事件と三億円を奪取したみたいに思われがちだが、実際は現金輸送車を奪取した事件で。中のお金を持ち去ろうとする犯行よりもダイナミックで発想が違う。
その点は大いに認めるところなのだが、
彼が犯行後、盗難車のがアタッシュケースに残したとんでもないもの。
それが友に対する二度目の裏切り。それどころかとんでもない行為だ。
これどう考えたって腑に落ちない。

いくら警察が、身内から犯人を出したくないとはいえ、盗難車のアタッシュケースに警察手帳があったのなら、それは即座にそれを持ち出せたものの犯行としてそんなに事件が大騒ぎされる前に解決出来てしまったんじゃないのか。
事件が大騒ぎになって、捜査員も大量にかり出され、モンタージュー写真まで作って、全国に情報を求め、そのモンタージュー写真からの情報にまた捜査員が引っ張り廻され、というとんでもない失態をさらすことも無かっただろう。

この著者の弁では自らの行いにより、友に罪をなすりつけ、それによって自分は逃げおおせた、というストーリーのようだが、友に罪をなすりつけただけで終わるわけが無い。
自ら、これは複数犯で無ければ無しえないと書きながら、何故、友一人の単独犯行と警察が判断してくれると思いこんでいるのか。
その彼は普段誰とつるんでだのか。
その時のアリバイは・・・などと

すぐにこの著者まで警察は辿り着いただろう。
その後、その近辺から消えるようなことも匂わせているが、その近辺から消えたならほぼ確実に容疑者確定じゃないのか。


犯人しか知り得ない事として書いた内容が一番、話としての信憑性を失わせている。

この話、「三億円事件を計画・実行したのは私です」というタイトルが最もインパクトがあるだけで、内容は、ちまたある三億円事件を題材のドラマなどの方がはるかにましか。



府中三億円事件を計画・実行したのは私です。白田著
28/Jun.2019
盤上の向日葵 柚月裕子

一昨年、昨年の藤井聡太氏の活躍により、将棋の世界がニュースに登場する頻度がかなり増えたが、日本のプロ棋士は200人にも満たない。
本気でプロを目指すなんていうのは東大よりもはるかにはるかに狭き門を潜らねばならない。

埼玉の山中で発見された白骨遺体が手にしていたものは、日本でたったの6つしか作られていないという名人駒、名駒中の名駒で、将棋指しなら誰しも一度は拝んでみたいと思う一品。

そんな高価で貴重なものをなぜ白骨遺体に持たせたのか。
殺人だったとしても、殺す相手にそんな貴重なものを持たせるなど考えられない。

そこで、捜査にあたるのが、元奨励会所属で一度は棋士を目指したという若手捜査員と、気難し屋のベテラン捜査員。

彼らの捜査の話と並行して、ある少年の生い立ちが語られる。
父親は飲んだくれの弱いばくち打ち。
マージャンではカモにされるほどに。
少年は父親に暴力を振るわれ、食事も満足に与えられず、毎朝新聞配達で家計を支える。そんな彼に将棋の手ほどきをしたのが、ご近所の元教育者の先生。
その先生夫婦から養子縁組の話を持ち掛けられるのだが、その時に受けていれば彼の人生は大きく変わったことだろう。

いや、そうでもないか。
飲んだくれで博打に負け続けるオヤジの元に居ながらも東大へ入れてしまうんだから。

強いはずの東大将棋部に彼の相手になる者はおらず、たまたま入ってしまった将棋クラブで再度彼の将棋熱に火が付く。
この話、捜査の二人はいつかは彼に近づくんだろうなぁと思いつつも、なんでそうなった?が最後までわからない。

将棋ファンならずともなかなか楽しめる一冊です。


柚月裕子著
19/Apr.2019
錨を上げよ 百田 尚樹

いったい何を読まされてしまったんだろう。

帯も書き過ぎだろ。
『大ベストセラー、永遠の0をはるかに凌ぐ感動!』って。

百田さんの書いたものは大抵読んで来たつもりだったが、この本は知らなかった。

これまで何某かの感動を与えてくれる本ばかりだっただけに、なんだろう。この残念感。

主人公の小学時代、中学時代なんて少年時代のことをだらだらだらだらといつまで書いてんだ?
これがあとでそんなに大事な伏線にでもなるというのか?
というよりも全体的に長すぎる。
その割に内容が無い。
いつになったら頭角を現すんだ?いつ碇をあげるんだ、と期待を膨らませられながらもだらだらが続く。

レコード店でようやく本腰を入れ始めた時は、なんだツタヤもびっくりの事でも始めるのかと思いきや、結局これも途中で投げ出してしまう。
そんなに才覚にあふれ、アイデア豊富でやる気満々なら、オーナーに文句たれて消えてしまうんじゃなく、自分でなんでやらないんだ、この男は。

結局、北海道の北方領土の近海での密漁が一番の読みどころになってしまった。
ソ連の警備艇と日本の海上保安庁双方から逃げ回るこのシーンはなかなか迫力があり、臨場感もあった。

結局それもやめて、大阪へ帰って来てテレビのフリー放送作家に。

まさか、自伝か?

いやそんなはずはないだろうが、大学時代と言い、時代背景と言い作者の生きてきた時代そのものを自分の体験も織り交ぜて書いていることは確かだろう。

じゃぁ、今度こそ放送作家を天職として何かを成し遂げるのか、というと、結局、これも何も成せぬまま、またまた投げ出してしまう。

最後が一番ショックだったかな。
最後の最後まで読んで、うそだろ。これが終わり?

上下巻のこのクソ長い、手も重たくなる様な本を読んできて、こんなエンディングなのか?

せっかく放送作家になったんだから、せめて「探偵ナイトスクープ」を手掛けた時の事ぐらい書いてくれていたら、まだちょっとは救いがあったのになぁ。


錨を上げよ  百田 尚樹著
11/Mar.2019
キラキラ共和国 小川 糸

ツバキ文具店の続編。

ツバキ文具店のあとを継いだ鳩子さんが子持ちの男性と結婚し、いきなり一児の母となるところから。
子どもは丁度小学校に入学する年頃で彼女はQPちゃんと呼んでいる。

前作が手紙というものについてのいろんな知識を教えてくれ、代書と言う作業のきめ細やかさに心打たれる本であったが、この続編はかなりの枚数をこの新家族、新たな伴侶、その亡き妻、特にQPちゃんについて最もページを割いている。

肝心の代書業も引き続き行ってはいるが、前作で手紙の内容に合わせての便せん選び、筆の種類やらボールペンの種類、郵便屋さんのためにあると思っていた切手に至るまで、綿密に選び抜くきめ細やかさに感動し、肝心のお手紙そのものにも感動したはずなのに、今回改めて、代書の相談事に客はやってくるわけだが。


なんでもかんでも代書頼みというのはいかがなものなのだろう。

好きな人への告白なんて最たるもので、それを人に書いてもらってどうするんだ。
前作で出て来た悪筆の人ならまだしも他人に書いてもらったことが相手にわかったらどんないい内容の手紙だろうが、いっぺんに覚めてしまうんじゃないのだろうか。

終盤に登場する川端康成ファンの女性からの依頼、川端康成から自分宛ての手紙を代筆してほしい、という依頼はかなりの難易度だろう。
文豪に成り代わって文書を書くなんて、しかも熱烈なファンだけに安易に文体を真似ただけなら返って偽物感が出てしまう。

と、今回は、代書を通しての感動はさほどでは無かったが、あらためてこの主人公のこころねの優しさはすなわち小川糸という作家の人柄なんだろうな、と思わせてくれる。

今回はQPちゃんについての記述が多いと書いたが、QPちゃんにとって自分は継母である。その父親であるミツローにとっては後妻。

その後妻の人が亡くなってしまった前妻のことを大好きになって、とうとう前妻に対してお手紙を書く。

やはり小川糸さん健在ですね。



キラキラ共和国  小川 糸著
04/Feb.2019
火星に住むつもりかい 伊坂幸太郎

テロ撲滅を目的に作られた「平和警察」と言う組織。
本来は海外のテロ組織のメンバを確保する事が目的で作られたのだろうが、お題目と運用がかけ離れてしまうこと、多々あるものだ。

交通事故を減らす事が目的の取り締まりのはずが、いつの間にか交通課警察のの点数稼ぎのためとしか思えないようなことだってある。
でも必ず言われるだも交通事故は減ったでしょ。

ただこの「平和警察」は次元が違う。

一般市民が嫌いなやつを嵌めてやろうと思っただけで、即機能してしまう。
通報一つでますは勾留される。
自白を強要されるような拷問を受け、自白させられると今度は一般市民を集めた場所でギロチンでの公開処刑。
容疑はなんだったのか。
テロの一味だと思ったのなら、そこで処刑してしまっては意味がないだろう。
もはやそんな普通が許される状態からどんどんかけ離れて行く。
しかし何故歯止めが効かないのか。
だって犯罪件数は減ったでしょ。
それが推進派の言い分だ。

かつてアメリカの9.11テロの後、時の米政府はこれはテロとの戦いだと対テロ宣戦布告をし、怪しいと目される人物と関わった人さらにその関わった人に関わった人と次から次へと監視の網を広げて行く。
これは後にアメリカから亡命したスノーデンの告発によってもそれがプログラムによってかなり大規模にしかも世界に網を張った状態で行われていたことが明らかになって行くのだが、そんな監視社会を「平和警察」は作ろうとしたのか。
いや、もっとひどい。
監視によって容疑者となったなら、まだ容疑者としての根拠があるが、ここに出て来る「平和警察」は何でもやりたい放題。
自分の気分で捕まえることだって処刑まで持って行くことだって出来てしまう。

これに立ち向かうのが黒づくめの謎の人物。
その捜査協力に東京からやって来た真壁という捜査官。
結構立場が上なんだろう。結構「平和警察」のことをボロカスに言っても平気な立場なんだから。
いいなぁ、この人のキャラ。
話しの流れなんてお構いなしで虫の生態なんぞを語り始めてみたり、謎の人物をたぶん「正義の味方」と名付けたのも彼。

この小説、ジョージオーウェルの世界と比較されるんだろうな、と読みながら思ったが、
案外この平和警察に捕縛された段階で、メディアからも一斉に袋叩き。やがては公開処刑という一連、ネット世界での炎上、袋叩きの方が似ているところがあるような気がしないでもない。

正義の味方はそこにも出て来てくれるのかなぁ。

火星に住むつもりかい 伊坂 幸太郎著
06/Jan.2019
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