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読み物あれこれではスタッフが各々勝手きままな読書感想文を書いております。暴言・無知・恥知らず・ご意見はいろいろお有りでしょうが、お気に召した方だけお読み下さい。
   
Jan.2016
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ナミヤ雑貨店の奇蹟 東野圭吾

東野圭吾ってこんな本を書く人だったっけ。

一軒の雑貨屋を経由して過去と現代がつながる。

近所で犯罪を犯して逃亡する犯人たちの車が故障。やむなく駆け込んだのがもう営業もしていない廃屋同然の雑貨屋。

この雑貨屋、かつて店主が悩み事の相談を受け付け、シャッターの郵便受けから相談事を書いた手紙を入れておくと翌朝、牛乳ボックスの中に店主が書いた返信が置かれる。そんなやり取りを店主と相談者はかつてしてきていた。

で、犯人たちがここへ到着すると、シャッターの郵便受けから相談事が舞い込んで来る。

三人の犯人の中でも、その取扱いについては意見が分かれるのだが、結局、結構適当な回答をしてみたところ、即座にその回答に対する返信が投げ込まれる。

3人は現代に居ながら、30年以上の過去の人への相談にのってしまっているのだ。
そうして過去の人への相談、回答のやり取りが続く。

また、章が変わると話はナミヤ雑貨店の店主が健在だった頃の話へと移って行く。

店主の物好きで始めた悩み相談なのだが、果たしてその回答を受けた人たちは、果たして幸せになったのだろうか。
それが知りたくなった店主の元へ30数年後の未来の相談者からのお手紙が届く。

この物語では何人もの相談者が現れるが、皆それぞれがなんらかの形で繋がっている。
また、相談を受けた人の結果を受けて、他の登場人物の人生が大きく変わるなんてことも。
まぁ、小さい町なんだろうから、それなりに皆が知り合いで少々繋がっていたっておかしくはないのかもしれないが。

オリンピックの代表候補になった女性からの相談事。
ミュージシャンを目指すが鳴かず飛ばずの男性からの相談事。
女手一つで子供を産んで育てられるかという相談事。
両親が夜逃げをしようとする家の子供からの相談事。
会社の事務職では稼げないので水商売に踏み込んだ娘からの相談事。

店主が回答したものも、未来の3人が回答したものも入り交じる。

未来からの回答として、それはちょっと違反じゃないのか、というのも。
相談者にその後のバブル全盛期の到来とバブル崩壊、そしてインターネットの普及とそれに伴うビジネスの時代が来ることを別の表現で教えてしまっている。

・相談者はすでに答えを持ってる
・未来は自ら切り開くもの

という店主のポリシーからこのケースははずれているのだが、それでも成功をおさめたのはその相談者が自ら未来を切り開いたから、と曲解できなくもない。

かなりいい話が満載なので、本当に東野圭吾なのか?
とは思ってしまったが、東野ワールドにいい話が無いと言っているわけじゃない。
こういうほんわりあったかい感じのいい話はあまり記憶にない。

ストーリーも舞台だても全く違うが、同じ歴代東野作品の中では娘の身体の中に妻が入り込んでしまう「秘密」なんかがイメージ的に近い気もする。

こういう東野作品も悪くない。



ナミヤ雑貨店の奇蹟 東野 圭吾 著


29/Jan.2016
ハケンアニメ! 辻村深月

アニメ業界のことがよーくわかる本。

ハケンってアニメ業界の派遣のことかと思ったら、覇権の方だったわけですね。

春夏秋冬のそれぞれの四半期の中で最も売上を上げた作品。
アニメそのものだけではなく、関連グッズ・キャラクター商品、それらのパッケージ全部含めてどれだけ売上を上げたか、一番売上をあげることを「覇権を取る」というらしい。

三篇からなる一冊。

一篇目は、一人のわがままな天才監督を守り抜く女性プロデューサーの話。

一作目があまりにヒットしてしまったがために二作目以降がなかなか出来ず、途中で投げ出してばかりいるわがままで自分勝手に見える一人の天才監督。

その一作目を見て惚れこんでしまい、彼と共に仕事が出来ることをずっと夢見ていた女性がプロデューサーの立場で彼を支える。
その監督がまたまた途中で失踪してしまう。

この監督と知ったかぶりのインタビュアーとのやり取りが、なかなか面白い。

二篇目は、その一篇目の作品と覇権を争う若手女流監督の話。
こちらのプロデューサーは、監督を守るというより、プロモートの方に力を入れるタイプ。

この監督も仕事に妥協しない人でアイドル系の声優などが泣き出してしまっても、さらに手厳しい言葉を浴びせてしまい、プロデューサーから小言を言われてしまう。

一つのアニメが出来あがるまでどれだけ多くのスタッフたちが徹夜も辞さずで取り組んでいることか。


三篇目はまさに製作の裏方屋さん。
原画を描く方の女性。

作品がヒットしても監督の名前は売れても、原画を描く人が全面に名前が出ることはないだろうが、彼女の書く原画は神原画と言われ、知る人ぞ知るという存在。


聖地巡礼というそのアニメの背景となった土地にファンが巡ってくることを利用して町おこしをしようとする町の観光化の人と原画作りの人のコンビが成し遂げたこと。

彼女が最も嫌っていた「リア充」。
リアルが充実していることをそう呼ぶのは知らないではなかったが、こんな風に使われるのは知らなかった。

しかし、どうなんだろう。

放映されているアニメも家で見ている人たちはリア充じゃない人もいるのだろうが、製作する側の人たちって監督やプロデューサーはもちろんだが、徹夜して原画を描く人たちだって、放映された瞬間をビールで祝い合ったり、かなりリアルに充実しているんじゃないのだろうか。



ハケンアニメ! 辻村 深月著


25/Jan.2016
だれも知らない小さな国 佐藤 さとる

これか。
半世紀以上前に書かれたコロボックルの話。

こっちの主人公の方がコロボックルと距離感が近いが、そうなるまではコロボックルはかなり用心深い。
主人公が小学生の頃から、味方になれる人かどうかの観察を続けて、大人になってもその小山を大事に守ろうとする人だとわかって初めて正体を表す。

有川浩の書いたコロボックルがまだ小学生の主人公にいきなり正体を表してしまうのよりかなり慎重だ。

男の名前には「ヒコ」女の名前には「ヒメ」が必ずつくのは同じ。

ここの地方では古くから「小法師さま」(こぼしさま)と呼ばれている。

大国主の命の時代のスクナヒコが祖先というのもいいですねぇ。
古事記の時代から、人間と共存して来たという話づくり、なかなかにいいですね。

その「こぼしさま」すなわちコロボックルの住む山に危機が訪れる。

高速道路の計画地になって、いよいよ全員が引っ越しを覚悟せねば、となってからの対抗措置がすごい。

地主たち、役人たちの寝ざめの枕元でのささやき作戦。

これって彼らの土地を守る作戦なのでやむを得ないのでしょうが、なんだか人を洗脳していく作戦のようで、ちょっと実はちょっと怖いやり方なんじゃないのかなぁ。

高速道路のために土地を売る事を「仕方ない」と思っていた人の枕元でささやき続けることで、だんだんと「反対しなきゃ」と皆が心変わりして行く。

コロボックルは超高速移動が出来るので人の目には映らない。

平成の今ならかなりいろんなところに監視カメラがあるので、彼らがどれだけ、高速移動できようが、再生を超スローで行えば、その存在は発覚してしまうだろうが、この時代なら大丈夫だ。

人の目には映らない隠密作戦が出来てしまうわけで、どんな機密情報も仕入れようと思えば仕入れられてしまうし、その上、ささやき作戦などで洗脳まで出来てしまうなら、もはや最強じゃないか。

なーんてことを考えることそのものが、この物語や有川浩の物語に登場する主人公たちのような純粋さをもはや持って無いってことなんだろうな。

目の前にコロボックルが現われるなんてことは一生無いんだろう。


だれも知らない小さな国    佐藤 さとる著


19/Jan.2016
だれもが知ってる小さな国 有川浩

「だれも知らない小さな国」という半世紀以上前に書かれた本のリメイク版と言ったらよいだろうか。

蜜蜂を飼って、蜂蜜を取る仕事をする養蜂業の仕事や暮らしがかなり詳しく書かれている。

この本では養蜂業とは言わず、蜂屋という呼称を用いている。

蜂屋さんの仕事というのはあまり知られていないが、本当にこんな1年に何度も移動を繰り返していたのだろうか。

蜂屋さんの子供の小学生が主人公。
蜂屋の子供は1年に何度も転校を繰り返して、また翌年には同じ小学校へと帰って来る。
年度途中で何度も転校する子供達。

学校によっては教科書も変わるだろうに。1学年で何冊教科書を取り替えるんだろう。

学校によっては、その進み具合や教える順番が違うかもしれない。
習うはずのところがすっぽり抜けたり、同じ所を何度もということもあるのだろうな。
と、本題とは関係ないところを心配してしまう。

主人公の少年はコロボックルに出会い、同じ蜂屋の同級生の女の子もコロボックルのことを書いた「だれも知らない小さな国」の熱烈な読者で、コロボックルの存在を信じている。

そのコロボックルの話をテレビの取材班が聞きつけて来て、懸賞金を出してコロボックルを探そうという試みを始めようとするのだが、二人はそれを懸命に食い止めようとする。
テレビ局側の人間に大阪出身で全国的に売れているという設定の漫才コンビと思われる人たちが登場し、子供たちを説得しようとするあたり、ちょっと大阪の人間としては読んでいて複雑な気持ちにならざるを得ないが、まぁ彼らも決して悪役というわけではなかった。

なんともほのぼのとした気持ちになれる読後感のいい読み物でした。



だれもが知ってる小さな国 有川 浩 著


15/Jan.2016
愚物語 西尾 維新

まだ続くか、化物語。
と思いきや、オフ・シーズンとかで、全く本編には関係ない。
当たり前か。本編はとうに完結仕切っている。

老倉育、神原駿河、斧乃木余接、各々が主人公の三話。

完璧に趣味で書きました、って言うけどそんな事言ったら、趣味で書いて無いのってどれ?って突っ込みいれたくなってしまうが、こりゃ本当に実験的試み100%で書いたんだろうな。


老倉育って、脇役どころか脇の脇の脇でそんな登場人物もいたっけ、と思い出すのに一苦労なようなキャラクターが登場しかたと思うと、なんだか太宰の世界にでも入ったんじゃないの、と思われるような冒頭から始まって、なんだかこれまでとは違う世界が展開されるのかな、と期待持たせてくれたわいいが、何の話なんだこりゃ。

まさか「イジメ」の問題を扱いたかったなんてわけがあろうはずがないし。
それにイジメというほど深刻な問題でもないだろうし。
転校生の周囲で学校しばらく休んだやつがいたぐらいの話ををえんえんとえんえんとえんえんと・・・。
これが西尾維新で無ければ、一話の途中で放り出してしまったことはまず間違いない。

神原駿河の語も、もう終わったはずの忍野扇なんぞが登場したりして・・・これもなぁ。

斧乃木余接と阿良々木月火の話。
これはなかなか楽しい。
月火に振り回される余接が面白い。

月火は不死身人間だったのか。
記憶がリセットされるって、掟上今日子を連想してしまう。

この三つの話には阿良々木暦は登場しない。

これまた、脇を固めたキャラクターののびしろを実験してみた、ということかな。

この実験的試み、全体的には失敗だったんじゃないの?
キャラクターの問題より展開の問題でしょうが、特に老倉育の話なんてひどすぎる。

たぶん、これも次回作が出るんでしょうが、この中で続けて実験してみる価値のあるのは、月火ぐらいかな。

掟上今日子の別バージョンで、「不死鳥 月火の備忘録」なんて。


愚物語 西尾 維新著


07/Jan.2016
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