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読み物あれこれではスタッフが各々勝手きままな読書感想文を書いております。暴言・無知・恥知らず・ご意見はいろいろお有りでしょうが、お気に召した方だけお読み下さい。
   
Jul.2017
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火車(かしゃ) 宮部みゆき

犯人追跡中に拳銃で足を撃たれて休職中の刑事。
その刑事のところに妻の従兄弟のさらにその息子という遠縁の親戚がいきなり現われ、婚約者が行方不明になったので探して欲しいと言い出すのが話の始まり。

行方不明の女性を捜すうちにいろんな事実が見えて来る。
実はその女性は過去に自己破産の過去を持っていた。
実はその自己破産した女性は全く別の人だった。
詳しく書くのは未読の方に失礼なので書きませんが上の二行ぐらいなら問題はないでしょう。

ノンフィクションでは無いでしょうから実際の話では無いにしろ、捜査というのはこういう風にやるものなんだろうなぁ、と感心してしまいます。
しかも休職中なので警察手帳を使わずに。

カードローン地獄に陥り、多重債務者となってしまった人間が自己破産をしてまた借金をチャラにして人生をやり直す。
その行為に対してはカードで支払う目途も無いのに使いたいだけ使って贅沢をした上で自己破産とは、なんと無責任な!
という世間の声がありますが、作者の言いたい事は、カードローン地獄に陥った人を助ける弁護士の言葉に表れています。

弁護士の説によれば、カードローン地獄に陥った人が悪いわけではない。
カードローン地獄に陥った事態と交通事故との類似を論じ、消費者信用という産業の構造を含めて批判します。
また、そういう構造だという事を教えて来なかった教育も悪いと。

カードローン破産した人も「ちょっと幸せになりたかっただけなのに・・・」なのだそうです。

なるほど、確かに産業構造から言えば、消費者信用の業界の取扱高は異様としか言い様が無く、それだけの金額を信用販売で取り扱うと言う事は債務者はいずれ消費者金融に流れざるを得ず、従ってなるべくしてなった多重債務者なのだ、という。

果たしてそうでしょうか。
確かに業界はそういう甘い勧誘の手でいろんなカードを個人に持たせ様とするでしょう。ですが、だからと言って欲しいものも欲しくないものもカード支払いだからと言ってじゃんじゃん使って行く人というのは、社会へ出るべき基礎知識(前提と言ってもいいでしょう)が足りないのではないか、と思えてしまうのです。
身の丈にあった利用が出来、自己制御能力が持てる人、以外はカードなどは持っては行けないのでしょうね。
とは言え、社会へ出るべき前提のある人、無い人おかまいなしに、どこへ行ってもすぐにカードを作りませんんか?とやって来ますからねぇ。
運転するのに教習所へ通って免許証を取得しなければならないのと同様に、カードを持つにもカード免許なるものが必要なのかもしれませんね。

確かに弁護士の(作者の)言う様に、多重債務者には同情すべき点は多くあるのでしょう。

以前、ファッション関係のビジネスをやっていた私の知り合い(年配の女性です)が、もの凄い多重債務者で借金漬けでどうしようも無くなった時の事を思い出しました。

これはカードローン債務などと言う甘っちょろいものでは無く、商売にからんでの借金が含まれるので一般個人の借金の額とは桁が違います。

当初、借金の事は家族には秘密になっていた様で、家族に発覚した時点では相当な額になっていました。

それでも、当時の家を処分して賃貸へ引越し、ご主人の退職金やもろもろを充当すれば、なんとか返済が出来る、と家族一同が踏んでいたのも束の間、またまた隠していた借金が出て来て、気がついた時には、一家全員が全部稼ぎに出たところでどうしようもなく、利息だけで一日百万が必要、とまで膨れてしまった時に、ようやく諦める事にしたらしく、結局夜逃げをする事と相成りました。

その夜逃げを何故か手助けするハメになったのですが、「夜逃げって何処へ?」
と聞いても、その宛てが無い。
仮りに受け入れてくれたとしても親戚縁者のところでは追いたてがすぐにやって来るでしょう。
親しい所へは行けない。と、なるどこへも行くところが無い、という事にあらためて気がついたのです。

で結局、我が家へ宿泊してもらうしかなくなってしまった。
ちょっとした知り合いというだけで全くの赤の他人なので我が家の居場所を借金取りが掴める可能性は薄い。
我が家ではそこまでしてあげる義理も何も無いのですが、事の成り行き上、仕方無く、と言ったところでしょうか。
それからそのオバさんとオバさんの妹がしばらくの間、我が家の居候となったのでした。
自己破産の手続きが完了するまで、債権者から身を隠すわけです。

ところが、この居候のオバさん、普段の贅沢な暮らしから抜け出す事が出来ない。
我が妻にしてみれば、もっと無関係な状態であるにもかかわらず、三度三度の食事を用意しなければならない。
その食事にしても満足して食べてくれりゃ、まだしも、一口箸をつけただけで、
「あぁ、これ、もう要らんわ」
などと平気でおっしゃる。
妹さんが気を使って「すみませんねぇ。わがままで」などと言いながらオバサンの残りも片付けようとする。

食後に軽くアルコールでもと出した時には唖然としました。
「なぁ、ヘネシー無いんかいな」
身の程をわきまえない、というのはこういう人の為にある言葉なのでしょう。
もう救いようがない。

それに債権者と言ったって消費者金融のプロばかりではないのでした。
債権者のかなりは一般の人。つまりはシロウト。
シロウトのなけなしの金を来月返すから、とか適当に言って騙し取ったようなものもかなりあるのではないか、などと思い始めていました。

オバさん姉妹はかなりの長い期間、我が家へ滞在し、やがて自己破産手続き完了で出て行きました。

それから何年かしてばったりと出会う機会が有ったのです。
今、仕事をしているのだという。
どんな仕事でのかを聞いてみたところ、ダマシの化粧品を電話セールスで売りつける仕事だと言う。
そんな事をしてお金にして恥ずかしいとは思いませんか?
つい、言わずもがなの事を言ってしまった。
するとどうでしょう。
「そんなん、騙されるアホが悪いに決まってるやん、何言ってんの」
その言葉を聞いた時に確信してしまいました。
この人は自己破産手続きが完了した時にも同じ事を思ったのだろうと。
「来月返すからと言うたからなけなしのお金融通してあげたのに・・」という個人債権者の気持ちに対しては「そんなん、騙されるアホが悪いに決まってるやん」だったのでしょう。
あらためて、債権者からの隠れ家を提供した事が果たして良かったのか、どうだったのか、と疑問が芽生えて来てしまったのです。

あらぬ方向へ話が流れたようでもありますが、これは「金を借りる」→「返せなくなる」→「さらに高利の金を借りる」→「さらに借金が膨らむ」→「自己破産の道を選択する」という人達がその間に何を考え、何を学んだか、にも繋がる話ですので敢えて挿入させてもらいました。

本に戻りますが、最後に行方不明の女性は見つかるのですが、作者はその後には何も触れない。
それまで書いて来た事で充分だろ。という訳です。
その後どんな話し合いが行われたのか、彼女はその後どうなったのか。
その一切を読者に委ねているところが潔く、気持ちがいい。

テレビドラマのように、その後のその後、さらにその5年後、10年後までさらされてしまっては、観る側は想像力を働かせる事も出来ない。
ああいうのを蛇足と言うのでしょう。

火車  宮部みゆき (著)


16/Jul.2007
蒲生邸事件 宮部みゆき

歴史を遡るだとか、時空を超える話、いわゆるタイムトラベルをしてしまう話はいくらでもある。
望んで行く話、偶然に行ってしまう話。
行った先の歴史を変えてしまう話。
絶対に歴史を変えてはならない、と眺めている様な話。

この「蒲生邸事件」という話もまさにタイムトラルの話。
ただ、他のタイムトラルの話と決定的に違う点がいくつかある。

一つはそのタイムトラベラーの能力を持った人間は一様に皆、暗く、陰気で顔を見たら、ガラスをギーっと擦る音を聞いた時に似た嫌な気分になってしまう。
彼らは友達はもとより、親兄弟の誰からも無視され続ける存在。
また、それだけ存在感が無いのだ。

こんなタイムトラベラーは他の話ではあまりお目にかかれない。
その暗さ、存在感の無さの理由は、他の時代へ行ってもその存在感の無さ故に誰からも気に留められることがないからだという。

それでも彼らはその能力を発揮しようと、歴史を変えようとするのだが、歴史というものの流れは決して変わる事がないのだという。

あの忌まわしい事故、日航ジャンボ旅客機の墜落をなんとか未然に防ごうと、飛行機に爆弾を仕掛けたと電話して無理矢理欠航させ、その飛行機は墜落を免れたとしても、その翌日か翌々日に別のジャンボ機が墜落する。
そうして、歴史はちゃんと帳尻を合わせるのだという。

日航ジャンボ機はあの時期に一機、墜落をしなければならない宿命があったのだという。あの山崎豊子の「沈まぬ太陽」がその後に明らかにした様な、日航そのものの安全管理をないがしろにした会社の姿勢はそういう形で何か事件にならなければ、改まらなかった、ということなのだろう。

だから、どのジャンボ機を救おうと、別のジャンボ機が必ず墜落する。

ということは、歴史は必然、という事なのだろうか。

ということは大化の改新の時、蘇我入鹿に事前に事件の事を告げていてもやはりどこかで蘇我蝦夷・入鹿親子は殺害されたということなのだろう。
現天皇を廃して蘇我天皇が誕生しつつある事態を撲滅させるのが歴史の望んだ結果だということか。

本能寺の変直前にタイムトラベルをして明智光秀を拉致監禁してしまったとしても、他の誰かが織田信長を倒すのだろうか。
自らを王と称し、寺院を焼き討ちにする様な存在は誰かが討つのが歴史の必然だということか。
ただ、本能寺の変の際には織田信長を討てるのは明智光秀しかいなかった。他の武将は皆遠征ではるか遠くまで行っていたはずである。
それでもその明智を拉致しても織田は誰に討たれるのだろう。明智の部下だろうか。

某日本放送協会でやっている「その時歴史が動いた」という番組がある。
まさしくその瞬間の行動が、その瞬間の判断の左右によって歴史はこんなに動いたのだ、という紹介話である。
でも、歴史が必然なら、その瞬間の判断を右から左へ変えてあげたとしても結果は同じだったということになるのだろう。

バック・トゥ・ザ・フューチャーとは対極にあるタイムトラベル話である。

さて、時代は二・二六事変である。
ここに登場するタイムトラベラーは他のどの時代への選択肢もあっただろうにこともあろうか、二・二六事変の直前からを自分の永住の地と定めた。
だんだんと日本全土に暗い影がさして来た頃なのじゃないのか。
それは戦後の人間が勝手にそう思っているだけで存外に今よりも住みやすい時代だったのかもしれない。
それでもその数年後には戦争へと突入して、最後は散々空爆されて、戦後は食うものもない時代へと流れていくわけだから、最終的には住みやすい時代であるはずがない。


作者は蒲生大将(架空)が未来を覗き見てしまったがために変節をし、未来の人からあの時代にそれだけ先を見通していた人がいたのか、と後世に名を残し、子孫を助けようとする様な人には歴史に不誠実な人としてばっさり切り捨てる。

東条英機の様に最後まで悪者で通して、戦犯となったの方が歴史に誠実、正直であったと寧ろ評価が高い。

では、二・二六の時代へ移り住もうとしているこのタイムトラベラーはどうなのだろう。赤紙で戦地へ引っ張られてしまえばどうしようもないが、引っ張られなかったとしたら・・。
東京への大空襲のことも知っているだろうし、長崎、広島へ原爆が投下されることも知っていれば、8月15日に玉音放送がある事も知っている。

戦後に起きること、朝鮮動乱のこともその後にどんな産業が伸びるのかも、ケネディの暗殺もアメリカの有人宇宙船月着陸も、東京オリンピックも大阪万博も・・・この歴史に影響を与えることをやめた人がそれを知ったからといって、先見の明を発揮したり、株でボロ儲けすることもないだろうが、戦争を生き抜いとしたらその先の人生は果たして面白かっただろうか。

未来は自らの手で作るもの、と言うが、彼は決して未来は作れない。
何故なら歴史に縛られているから。

彼はだけではないのかもしれない。
歴史には流れというものがあり、その流れには決して逆らえないのであるというように過去から今日に至る歴史が必然なのだとしたら、未来だって同じではないのか・・・必然。
未来は自らの手で作るものなのではなく未来は定められた必然のルールどおりに進んで行く?

この本にはそのような意図はないのはわかっている。
昭和初期の日本でしか存在し得ないような優しい温もりのある女中のふき。
ふきと主人公とのロマンスなどがあれば、随分違う感想をもつのだろうが、二・二六事変に訳もわからず参加した兵士への「原隊へ戻れ」の号令。
「原隊へ戻れ」をふきから復唱され、戻るべきところへ戻る主人公。
それだけでもふきという女性の優しさは伝わってくる。
感想としてはそういう締めが望ましいのだろうが、蛇足は書かずにはいられない。


歴史の落ち着く先が決まっている、という宮部流歴史必然説に沿えば、未来は自らの手で作るものなのではなく未来は定められた必然のルールどおりに進んで行く。

では、未来を、この地球の未来を変えようとする人々の努力はいかに。
地球温暖化は続き、ツバルは沈み、北極から氷がなくなっていくのは歴史の必然?
洞爺湖サミットにても結局、2050年と彼らの次々世代に対しての約束事でさえ、中国、インドからの前向きな発言を日本国首相は得られなかった。

これは宮部流必然説でもなんでもなく、まさに我々の目の間の現実そのものなのだ。
歴史のこの未来の必然の行き先はこのまま推移すればもうほとんど見えていると言っても過言ではないだろう。

最後に、それでも我々には我々の子・孫の世代のためにもその必然の未来を変えるための努力をする義務があるはずだとこころから思う。


蒲生邸事件 宮部みゆき 著


17/Jul.2008
希望荘 宮部みゆき

ペテロの葬列の杉村三郎が探偵としてデビューする。

四部作でそれぞれが独立した一篇一遍。
どこかでつながるのかな、と思ったりもしたが、それぞれが独立した短編だった。

死んだはずの人を見かけた。幽霊かどうかを調べて欲しいというのが最初の依頼。

それにしてもこの探偵さん、フットワーク軽いね。動くのなんの。
そんじょそこらの営業マンよりよっぽど稼働率が高いわ。

次の依頼は死ぬ間際に、自分は過去に人を殺したことがある、と匂わせる様な事を息子に言って世を去った老人の息子が、どうしても気になり、父の過去を調べてくれ、という。

三話目は、ペテロの葬列の一連の後、コンツェルンを飛び出した主人公が実家に帰り、そこで後に世話になる蛎殻オフィスというなんでも出来てしまう探偵会社の社長から頼まれごとをする。

自ら探偵事務所を開くきっかけになったのは言うまでもない。
ここでは戸籍の売買というのがキーなのだが、敢えて戸籍を買った人の目的が今一不明。
それにそても蛎殻オフィスさえあれば、世の中に探偵事務所なんて要らないんじゃないか、と思えるほどにこの事務所の存在は圧倒的だ。

四話目は、東日本大震災で行方不明者が相次いだことをうまく利用した犯人のトリックを暴く。

三話目の過去の思い出は、ともかくとして、残りの三話、杉村探偵、かなり積極的に動いているが、その報酬たるや仕事量に見合っているのだろうか。下世話な話だが・・。
いくら独身ぬいなって食わせる相手が居ないったって・・・。

まぁ、ていうような杉村三郎氏だから、みんなに愛されるんだろう。



希望荘 宮部みゆき著
16/May.2017
荒神 宮部みゆき

宮部みゆきという作家、本当に守備範囲が広い人なんだなぁ。

現代の推理ものがあったかと思えば、ファンタジーもの。
SF的なものが出たと思ったらやたらと江戸の時代ものが続いてみたり。

この「荒神」という物語。
時代は江戸の徳川綱吉時代なので時代ものには違いないが、時代ものは時代ものでも、もののけ、というか怪物が登場する。

どす黒い怪物となると、宮崎駿の「もののけ姫」に出てくるタタリ神を連想してしまいそうになるが、その姿がだんだん明らかになってくる。

時には蛇のように移動するかと思えば、時には足が生やしてどたどたと移動する。その時はティラノサウルスのような容姿なのだろうか。
口から硫酸のようなものを出しているのか、そのよだれを浴びたら、火傷で焼けただれる。
身体は鎧の如くで、矢も鉄砲も皆、はじき飛ばされる。
顔には目が無い。
人間は食らうが、他の動物には全く食指が動かないようで、牛馬などには目もくれないどころか、馬からなどは逃げ出す始末。

永津野藩、香山藩という架空の東北の二藩が舞台で、この二藩、関ヶ原以前からの因縁がある。
その二つの藩の間に位置する村にその怪物は現われ、村中の大半の人を食いつくしてしまう。

この怪物、そもそもこの二藩のいがみ合い時代に呪術を用いる一族によって生み出されようとした失敗作だった。
それがその一族の末裔の男の深い業によって蘇った?

これに立ち向かって行く人たち、まさに江戸時代版のブレイブ・ストーリーか?と思わせられるが、意外な形で怪物は昇華していく。

こういう物語って構想を練り上げて練り上げて、書きおろしで書くものなのかなぁ、と思いながら読んでしまったが、巻末に新聞に連載されたものを単行本化されたことが記載されている。
連載しながら、ストーリー考えていそうな雰囲気あるもんね。
新聞に連載小説が載ってても、読んだことがないが、毎日楽しみにしている人ってやっぱりいるんだろうな。

こういう物語、そういう読まれ方が似合っている気がする。



荒神  宮部みゆき 著


05/Jun.2015
小暮写眞館 宮部みゆき

高校生が主人公の物語。

彼の周辺に登場するのが、普通のサラリーマン家庭なのにちょっと変わり種の父親と母親。
引っ越し先に選んだのが、売り手が「駐車場にするしかないか」と思うほどに家としての価値が無い古い写真館。
写真スタジオがリビング。その写真館の看板もせっかくだから、とそのまま残す。

高校生の名前は「花菱英一」なので下の名前の英一を省略して息子を呼ぶ分にはいいが、彼の友人が「花ちゃん」と呼んでいるからと言って、父も母も弟までも「花ちゃん」と呼ぶ。
何かおかしい。

テンコという幼なじみの父親もちょっと変わったキャラクターで、誰に似ているか、と聞かれれば、その世代によって全く別人に見られてしまう人。

ある年代には草刈正雄、ある年代にはキムタク、またある年代には・・と全く別人に似て見える、という不思議な人。

そんな不思議な周囲に囲まれながら、英一はいくつかの「心霊写真」と思われるものの謎を解明する。 
という変な話なのかと思ったら、それは単なる前振りだった。

7年前にたったの四歳で亡くなった英一の妹。
その妹の葬式で、母は祖母をはじめとする親戚から鬼のような言葉の数々を浴びせられ、そんな言葉が無くっても、家族皆が全員自分のせいなのだ、と自分を責めている。


不動産屋の超無愛想事務員の手を借りながら、そんな状態から脱皮していく話でもあった。

それにしても英一君、高校生にしては守備範囲広すぎないか?



22/Sep.2014
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