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Nov.2017
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点線のスリル 軒上泊

2歳の時に施設の前に捨てられていた少年。
13年間の自分を振り返って何も見えないと作文に書く。
自分の歩んで来た道は点線なのだと書く。
自分の出生に至るまでを知らなくても、本当の親を知らなくても、それまでの人生は決して点線などではないと思うのだが、ずっと暗闇に生きるような暗い学校生活を耐えて来た彼には点線に思えるのかもしれない。

施設で育ったからってそんな苛めの対象になったりはしないだろうに。
おそらく学校では彼自信が暗い殻の中に閉じこもっていたのだろう。

それにしても彼から見た学校の連中というのはあまりにも醜い。
新聞配達をしてから学校へ登校したからインク臭いっと騒ぐ女子生徒だとか。
まぁ、そういう設定なのだ。
ここで書かれているようなクラスメートなら、彼から見れば確かに記号の群れであり、ヒト科のメスであり・・なのかもしれない。

そんな少年が図書館で出会った年上の女の子に引っ張られる形で、自分の出生を探索する。

この物語にはもう一つの探索がある。

偶然に間違えてチャイムを押してしまった家に住む認知症のお婆さん。
一人暮らしで、元ヤクザだという隣人が面倒をみている。

「あたしには行かなければならないところがあるの」と老婆は言う。

認知症だと聞かされれば、あいずちだけうっておけばいいだろう、と思うのが一般人的な発想かもしれないが、この少年は放っておかない。
元ヤクザの隣人を撒きこんで探索を始める。
その老婆がどこから来たのか。
これまで何をして来たのか。
どこへ行かなければならないのか。

その二つの探索をめぐっての展開はなかなか読ませてくれるのだが、ここらあたりまで来るとちょっと嫌な予感がしてしまうのだ。

そう来るんだろうな。
いや、それだけはやめて欲しい。

二つの探索が接点を持ってしまう?うすうす感づいてしまうが、この二人の出会いからしてそんな偶然があったら「ご都合主義」のそしりを受けてしまうのは必至じゃないか。

ネタバレは書くまい。
だが、途中まで読んだ人は誰しもその方向への予感を感じるだろう。

仮に接点を持とうが、ガッチリ重なってしまおうが構わない。
点線は点線のままでは少年が可哀そうだ。

ちゃんと実線にしてあげなければ、作者も終わるに終われないだろうし。



点線のスリル 軒上泊著


10/May.2011
ロンドン・ブールヴァード ケン・ブルーエン

イギリス版のハードボイルド小説である。

3年の刑期というお勤めを終えて出所してきた主人公。

昔の仲間がちゃんとお迎えの車が来て、その仲間の属するギャングの集団の仕事の手伝いを始める。

その一方で、チンピラに絡まれていた女性を助けたことがきっかけで、その女性から紹介された、イギリスのかつての大女優の家の修理やら壁のペンキ塗りやらの仕事、所謂正業にもありつくことが出来るようになる。

今となってはおそらく60歳を過ぎた元女優でしかないのだが、本人はまだまだ現役に復帰出来ると信じている。

そして、歳をとっているのにも関わらず、妖艶で出所したての主人公を興奮させるには充分な色気を持っている。

そうこうするうちに仲間が属するギャング集団のボスの目に彼がとまり、大事な仕事を任せるが、どうかと打診を受け、元大女優の仕事をとるか、ギャングの幹部の仕事を選ぶのか・・・。

そのどちらかを選んだことでこの物語は、エンディングの後に主人公氏がさぞやこれから大変な思いをするのだろうな、と想像させるところで終わっている。


これを読んでいて思うのだが、イギリスの刑務所というところ、かなりおそろしい場所のようだ。
命がけの根性が無ければ生き残れない。
日本の刑務所はどうだろうか。
かつて安部譲二氏が塀の中の話をいくつか書いていた中に先に出所するやつに家族の居場所や情報などを絶対に教えてはいけない、というものがあった。
やはり、それなりのノウハウは必要なようだ。
そういえばホリエモン氏はどうしているのだろう。
今頃、塀の中なのではないだろうか、それとももう外へ出たのかな?
ノウハウ無しでも無事に過ごせたのだろうか。

いずれにしろ、何某かのノウハウが必要だと言ったろころで、中で自殺に追い込まれたり、などの命をめぐっての 切った張ったは日本の塀の中ではまずないだろう。
まぁ、日本の刑務所が例外で世界ではおそろしい刑務所がやまほどあるのだろう。


この小説、映画化されたらしい。

翻訳本としてだからか、伝わりづらい雰囲気の場面がいたるところにあるが、映画でならその雰囲気は伝わったことだろう。
今度、折りを見てDVDでも借りてきてみよう。

ロンドン・ブールヴァード (新潮文庫) ケン ブルーエン (著) Ken Bruen (原著) 鈴木 恵 (翻訳)


04/May.2012
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