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読み物あれこれではスタッフが各々勝手きままな読書感想文を書いております。暴言・無知・恥知らず・ご意見はいろいろお有りでしょうが、お気に召した方だけお読み下さい。
   
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ロバート・ウェストール
ロバート・ガルブレイス
ロバート・ケネディ
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第二次大戦中の物語。
ドイツのUボートが現われるイギリスの港町が舞台。
主人公の少年は自国の貨物船が撃沈されるにあたって、この港町のどこかにドイツのスパイが居るのでは?と疑い、自ら捜査を始める。

と書くとまるで愛国少年、軍国少年のようだが、やがては自国の権力者達を嫌悪するようになる。

「水深五尋」というタイトルだから潜水艦の中まで冒険する物語かと思ったのだが、そうでは無かった。
舞台は陸上である。
寧ろ、Uボートにまつわる冒険話などではなく、国内の移民や様々な階層の人たちの有りようを描いている。

イギリス国内にもアンタッチャブルとも言えそうな、警察も手が出ない地域があったりする。
そんな中でのスパイ捜しは少年にとって危険でないはずもなく、それが冒険話として語られている。

スパイ捜しはともかくもその舞台となる地域でのことは著者自らが体験した話なのだと著者は書いている。

それにしても何故?
何故この本が本邦初訳なのだろう。
戦後60年以上経過し、既に著者も10数年前に亡くなっている。

日本人を敵視している表現があるから?そんなわけはない。
当時は敵国だったわけだし、戦中ならともかくも。
2009年になって何故今頃初訳なのだろう。

もう一つ、何故?
あのスタジアジブリの宮崎駿氏が表紙を飾り、挿絵を書いている。
もちろん、といえばもちろんながら隣のトトロ風でも無く、風の谷のナウシカ風でもない。
何故今頃挿絵なんて書いているんだろう。

と、物語の本筋とは違うところでどうしても何故?が発生してしまうのである。


水深五尋 ロバート・ウェストール著 宮崎駿 (イラスト)  金原 瑞人 (翻訳)  野沢 佳織 (翻訳)


03/Dec.2009
カッコウの呼び声 ロバート・ガルブレイス

あのハリーポッターシリーズの著者J.K.ローリングがロバート・ガルブレイスというペンネームを使って書いた探偵物。

ガルブレイスという名前からは「不確実性の時代」などで有名な経済学者を思い浮かべてしまうが、全く由来にも関連は無さそうだ。

何故、わざわざ別の名前で出版したのだろう。ローリングの名前で出せば即座に世界中ベストセラーになっただろうに。

案外、この探偵物、実験的試みだったのかもしれない。
ローリングの名前だとそのイメージが先行し、ポッターを期待する読者にがっかり感を与えないようにという配慮だったろうか
結果的にはローリングの別名、という知名度が有ったからこそ、早々に日本でも翻訳出版され、こうして手にすることとなったわけだから、ポッターの名前を傷つけずにベストセラーへの近道を得たということで出版社としては万々歳だろう。


事務所の家賃すら滞納しているさえない私立探偵コーモラン・ストライクという男が主人公。

その事務所へ手続きミスのような形で派遣されて来たのがロビンという名の女性秘書。
家賃さえ払えないのだから、派遣とは言え、事務員や秘書を雇う余裕などあるはずが無い。
その直後に舞い込んだ一つの依頼。
超有名なスーパーモデルの自殺に関して、その兄が依頼に来る。

「妹は絶対に自殺ではない、調査をして欲しい」というのが依頼内容。
著名な人の事件だけに警察も念入りに調べた結果の自殺の判断したのだろうから、それを覆すのは容易ではない。
だが、探偵事務所というところ、事件を解決したり、覆したりすることが仕事ではない。
依頼に基づいて調査を行い、その調査結果を出すことが仕事である。
依頼主からもらえる高額な報酬も引き受けるきっかけには充分だろう。

誰しもが自殺を疑わないこの事件の調査にコーモラン・ストライクは決して手を抜かない。
最後には意外な結末が待っているのだが、そういう展開はハリーポッターのシリーズの中でもクライマックスになって信頼していた人がヴォルテモートの手下だったり、それを暴いたり、という流れもちょくちょくあったような気がする。
若干だが類似性はあったわけだ。

そんな話の本筋よりも秀逸だったのは派遣秘書のロビンの存在。

なんと機転が利く人なのだろう。

かつて、中東で仕事をしていた人が日本の会社で会議用に資料を10部コピーするように頼んだところ、参加者一人一人が読みやすいように1部ずつクリップでとめられた資料の束を見た時に彼は感激してしまった。日本では当たり前のことのようだが中東の事務員ではまず考えられないという。「日本の事務員は世界一優秀だ」と声を大にして言っていたが、そんな日本の事務員でもこんなロビンにような仕事ぶりを発揮する人は早々いない。

指示された仕事にはその期待の何倍もの結果を出して返して来る。
派遣社員なのだから何時から何時まで働いていくら、という時間の浪費のような仕事の仕方をしない。
上司の今一番求めているものを的確に把握し、常に能動的に動く。
それでいて細やかな気遣いはどうだろう。
これが一番びっくりだ。

物語のストーリーよりも寧ろ、このロビンと言う人の働き方にしびれてしまった。

何故、この人をこれまで正社員として迎え入れる会社が無かったのであろうか。

いや、寧ろ逆か。日々勝負の派遣だからこそ身に付いた生きかたなのかもしれないなぁ、と一人ごちたのでした。


カッコウの呼び声 -私立探偵コーモラン・ストライク- ロバート・ガルブレイス著


14/Dec.2014
13日間 - キューバ危機回顧録 ロバート・ケネディ

第二次世界大戦後、最も核戦争に近づいた時期がある。1962年のキューバ危機と呼ばれた時期がそうだ。
スティーヴン・キングの『11/22/63』の中で、アメリカの国民が明日にも核戦争が起きると思い込むその狂気の日を過去へ旅する主人公が目の当たりにする場面がある。

ソ連がアメリカの目と鼻のさきにあるキューバにミサイル基地を次々と構築して行く。
そのミサイル基地から発射されるミサイルはアメリカのほとんどの主要都市を射程圏におさめる。
その時のアメリカ政府の対応と対するソ連政府の対応如何では、世界で核戦争が勃発しかねないギリギリの瀬戸際だったのだ。

長崎・広島の惨劇を知った後にも核兵器の使用を進言していたアメリカの軍人はいくらでもいる。
朝鮮戦争の際のマッカーサーがそうだ。あの戦争は北と南の戦いというよりも事実上アメリカ軍と中共軍の戦いだったので、核を落とすなら、北鮮ではなく中国本土へ、ということだったのだろう。
ベトナム戦争の際も何万トンの爆弾を投下するより、さっさと核爆弾を落とせばいいのに、と言っていたアメリカの将軍は何人もいたという。

だがそれらとはちょっと次元が違う。
ソ連相手の全面核戦争となれば、それこそ人類の存亡の危機、と言っても過言ではない。


アメリカ大統領の周囲で最も強硬なのが、直ちにキューバを攻撃すべし。キューバへミサイルを落とすというもの。

ケネディはその時に議論された中で最も穏便な策、キューバの海上封鎖に乗り出す。

その後、ソ連船が数隻、近づいて来た時、その後の数時間で大統領は最終決断を迫られる。
ソ連船がUターンしたために最終決断には至らなかったが、今度はキューバを監視していた偵察機が撃ち落とされる。
当然の如く、報復措置を取るべきという意見の中、ケネディはフルシチョフへ書簡を送り、最悪の事態を回避しようとする。


ケネディが素晴らしかったかどうかの真価は、彼が暗殺されずに長期政権を担っていて初めて可能なことだろうが、もし、このキューバ危機の際のアメリカのトップとその参謀がブッシュとラムズフェルドだったとしたら、おそらく、早期にキューバ攻撃の決定を下したのではないだろうか。


ケネディの取った措置は、相手の立場を考えつつも言いなりにはならない、というもの。
フルシチョフはキューバからミサイルを撤退するに当たって、トルコにあるアメリカのミサイルを撤退させることを交換条件にあげる。
ケネディももともとトルコから撤退したかったので、本来なら渡りに船なのだが、それを飲む形だとソ連に脅されて撤退した形になってしまう。
断固、それは行わない代わりに、ウ・タントを経由して、またフルシチョフと直接の書簡のやり取りにて、最終的に危機を脱出する。

その後も、この一連の出来事を外交的勝利の用に喜んではならない、とあくまでもソ連のメンツを考慮する。

一連の流れを見るとソ連が一方的に悪く見えてしまうし、ボールを握っているのもソ連側。
ただ、フルシチョフの言い分にももっともなところがある。
キューバに基地が出来たところで、まだ海を隔てているじゃないか。ソ連とトルコは陸続きの隣同士なんだよ。
そっちを撤去せよというなら、そっちも撤去するのが筋だろ。・・・なるほど確かにうなずける。

それにしてもキューバにミサイル基地が出来ただけで、これほどの騒ぎになるアメリカ。

北朝鮮の弾道ミサイルは日本列島を超える能力は持つ。
それに核開発も進められている。
にもかかわらず、迎撃はまず無理だろうと言われるPAC3を数台持つだけの日本。
基地建設どころか、ミサイルが発射されたってそんなに恐怖に脅えることも無い。
この違いはいったいなんなんだろう?


13日間-キューバ危機回顧録 ロバート・ケネディ著


22/Jul.2014
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