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読み物あれこれではスタッフが各々勝手きままな読書感想文を書いております。暴言・無知・恥知らず・ご意見はいろいろお有りでしょうが、お気に召した方だけお読み下さい。
   
Dec.2013
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11/22/63 スティーヴン・キング

今年の11月に駐日大使として赴任したキャロライン・ケネディ。
その就任の時に馬車で皇居へ向かう彼女を見た人々の歓声たるや、熱狂的なものであった。

ジョン・F・ケネディの娘というだけで、(もちろんそれだけが理由ではないだろう。彼女が親日家で美人だということも理由のひとつだろうが)それだけの人々を熱狂させるほどに父のケネディ元大統領は日本でも人気があったし、アメリカでも人気があった。

その人気が今でも続いている最も大きな理由はやはりあの暗殺事件にあるのではないだろうか。
若干43歳で大統領就任。
四年の任期を終えて二期目をむかえる頃になると、かなりボロが出て来て、就任当初の人気とは程遠くなるものなのだろうが、ケネディはまだ人気絶頂期のまま、他界してしまったのだ。

この物語は過去へと旅立つ物語。

主人公は30代の高校教師。
なじみのハンバーガー屋のオヤジから過去へ行く道を教えられる。
そのオヤジ、何度も何度も店の裏にある抜け穴を通って過去へと行き来し、あろうことか50年前の貨幣価値を利用して肉を仕入れていたのだ。
なんとちっぽけな!せっかくの過去への旅をそんなことに使っていた。

必ず、行った先は1958年の同じ日の同じ場所。
二回目に行けば一度目の訪問はリセットされ、前回会った人とは向こうは初対面。同じように話しかければ、全く同じ会話のやり取りが繰り返される。
そのあたりが「バック トゥ ザ・フューチャー」とは異なるところ。

オヤジ、せっかく過去へ来れているという重要性に気が付いたのか、1958年からあと5年を過去で辛抱して、ケネディ大統領を助けようと思い立つ。

ベトナムへの介入に否定的だったケネディの死後、大統領になった副大統領のジョンソンはベトナムへの北爆を開始する。だからケネディの暗殺を阻止すればベトナム戦争で亡くなった何百万というベトナム人やアメリカ兵の死者を助けることが出来るはず、というのがその考え。

過去へ行くことが毎回リセットと言ってもそれはあくまでも過去だけでそこで過ごした年月分だけ自分自身は年老いて行く。
歳を取り過ぎてタイムリミットとなったオヤジは主人公氏に過去へ行って、オズワルドの暗殺の阻止を主人公氏に委ねるのだ。

果たしてオズワルドさえ殺してしまえばケネディは救われるのか?

ケネディの暗殺には、現代でも全く解明されないままの謎や陰謀説が山のようにある。
マフィア犯人説、KGBによりものから、CIAの犯行説、兵器産業陰謀説・・・。
オズワルドは実行犯だけをやらされた使いっ走りだったのか、そもそも撃ったのが本当にオズワルドだったのか、さえ確かとは言えない。

そこで、オズワルドが単独で行ったものという確証を得てからオズワルドを阻止するという難しい選択肢を主人公氏は選ぶわけだが、過去は変えられることに対してとことん抵抗してくる。


この本を書くにあたっての過去への調査は並大抵のものじゃない。

なんせ見て来たかの如く事件前のオズワルド周辺が描かれている。

今では歴史の小さな一コマに過ぎないキューバ危機の時の多くのアメリカ人の心境がどんなものだったのか。まるで全土が9.11直後のような大騒ぎの状況をリアルに描いている。


はてさて、オズワルドを阻止してケネディが生き永らえたとしてどんな未来(現在)が現出するのだろうか。

なんとも壮大な物語なのだ。




11/22/63(上・下)  スティーヴン・キング著 白石 朗訳


27/Dec.2013
珈琲店タレーランの事件簿 岡崎琢磨

珈琲好きにはたまらない一冊だろう。

珈琲に関するうんちくがたんまりと盛り込まれている。


この本も京都の本屋大賞にあたる京都本大賞のBEST3の一冊。

珈琲店は御池通の京都市役所の辺り 富小路の角を北上。

主人公の行動範囲の中心は北白川やら出町柳あたりか。

いかにも京都の大学で学生時代を過ごした人らしい行動半径だ。

この本、『このミステリーがすごい! 』大賞を逃した作品なのだそうだ。

そりゃ、どう考えたって、いわゆる「ミステリ」とはちょっとジャンルが違うだろう。

珈琲店タレーランの女性バリスタは、謎解きが得意なのだが、その謎ったって、謎というほどのものでは決してない。

ご愛嬌なんだろうと思っていた。

主人公の傘が間違われた。さて、何故だ?ってミステリとは言わないだろう。

何故『このミステリーがすごい! 』大賞の候補にあがったのかの方がはるかに謎だ。

ミステリはジャンル違いかもしれないが、ちょっと美人のバリスタがハンドミルで珈琲豆をコリコリコリと挽いているのを何度も読まされてしまうと、久しぶりにハンドミルでちゃんと挽いた珈琲を飲みたくなってしまった。




珈琲店タレーランの事件簿  また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を 岡崎 琢磨 著


25/Dec.2013
まほろ駅前番外地 三浦しをん
まほろ駅前多田便利軒の続編。
まほろ駅前多田便利軒について、簡単にふれておくと、
多田というクソ真面目な男が経営する便利屋。
そこに転がり込んで来た高校時代の同級生の行天。
普段は何もせず、多田一人に働かせて居候を決め込んでいるような格好の行天。
何もしていないようで、いきなり突飛で、意表をついたような行動を取ったかと思うとそれが功を奏して問題が解決する。
概ねそんなかたちの問題解決ストーリーが展開される、

今回の番外地は多田も行天もどちらかというと脇役。
前作で脇役だった人たちが今度は主人公と言ったところか。


星良一の優雅な日常はなかなかに興味深い。
覚醒剤を密売する不良高校生を徹底的に痛めつけるかと思えば自分のマンションに転がり込んで来た女子高生に対する純な愛情はもはや高校生未満なのだ。
このギャップなんともいい
この章では、ほとんど多田も行天も登場しない。

思い出の銀幕は曽根田のばあちゃんの昔の恋愛物語。
行天をかつての恋人役にして語られる戦後のドタバタ時代のばあちゃんの恋愛話。
なんともほろ苦いは、ばあちゃんの名言がたくさんでて来る。


この本、既に映像化までされているのであまり深く記すこともないが、まほろ駅前多田便利軒を既読の方にはなかなか楽しめる番外編だろう。





まほろ駅前番外地 三浦 しをん著


24/Dec.2013
一応の推定 広川 純

「自殺そのものを直接かつ完全に立証することが困難な場合、典型的な自殺の状況が立証されればそれで足りる」
「その証明が『 一応確からしい』という程度のものでは足りないが、自殺でないとする すべての疑いを排除するものである必要はなく、明白で納得の得られる ものであればそれで足りる」
それがタイトルでもある「一応の推定」の定義だそうだ。

ひとりの男が電車にはねられ、死亡する。
損害保険会社の依頼で事件の調査に当たるのは定年退職目前のベテラン保険調査員。
自殺であれば損害保険会社は遺族へ保険金の支払い義務は無い。
調査員の仕事とは、その死亡が自殺によるものなのか、事故によるものなのかを調べることになる。
会社としては当然ながら自殺であることを証明しようとする。
遺族は、事故だというに決っている。

調査を進めるに連れ、自殺であってもおかしくないようなことがいくつも判明してくる。
・死亡した男性には、渡米して臓器移植の手術を受けなければ、余命いくばくもない孫がいて、その渡米のためには多額のお金が必要だった。
・保険に入ってから間が無い。
・死亡した男性の会社は実は倒産していた。

次から次へと出て来る材料は、男が自殺したのでは?と思わせることばかり。
「一応の推定」の成立として報告書を仕上げてしまうことも出来るのだろうが、それでもこの調査員はまだまだ調査を続行していく。

老調査員は死亡事故のあったJR膳所駅まで行き、死者の最後の直前の場面を自ら再現してみたり、階段からの歩数を図り。列車のスピードを調査し・・・。目撃者がいる可能性があれば、今度はその男を追いかける。追いかけた先の京都に既に住んでいないなら、その別れた奥さんを追いかけて鳥取まで出張する。

保険の調査員は刑事ではないので、捜査権などはもちろん無い。
あくまでも人の善意に訴えて、証言を引き出していく。
そこはベテランならではと言ったところか。
作者自身保険の調査員だったというから、ご自身での体験が大いに著されているのだろう。
なかなかに読み応えのある一冊だった。

次作の「回廊の陰翳」が京都の本屋大賞BEST3。

この本がデビュー作にして松本清張賞を受賞。

こちらは京都よりも寧ろ大阪。新世界界隈もあれば、淀屋橋から北浜の界隈やら、日常に歩いている場所が頻繁に登場するので、親近感は満載である。


一応の推定  広川 純 著 松本清張賞


20/Dec.2013
時のみぞ知る ジェフリー・アーチャー

イギリスの港町のごくごく貧しい家庭で育ったハリーという少年。
港町をほっつき歩くことが好きでなかなか学校へと足が向かなかったハリーだが、 オールド・ジャック・ターという謎の老人に出会ってから、彼の元で好奇心を旺盛に勉強することとなる。
勉強も聖歌隊での歌も高く評価され、お金持ちの子弟しか入れないような学校へと進学し、寄宿をする。

ハリーの進学の陰には母親の涙ぐましいほどの努力があったわけだが、彼女は努力だけの人では無かった。実に才能豊かな女性だったのだ。

戦争で亡くなったと聞かされていた父親についての真実が、だんだんと明らかになって行く。

富裕層の息子達からいじめや嫌がらせを受ける中、同じ大富豪の御曹司ながら彼をかばってくれ、家にまで招待してくれる友人。
その友人の家族の中でも何故かその父親だけがハリーに冷たい。

そんなことの理由もやがて明らかになっていく。


ジェフェリー・アーチャーが書いた「全英1位ベストセラー」と聞いて、久々にジェフェリー・アーチャーの長編を味わおうと思ったが、なんと上・下巻を読み終えてもまだまだ物語は序の口といったところ。


クリフトン年代記 第一部 とあるので、続きものであることは覚悟していたが、それでも上巻・下巻とたっぷり枚数を使っているんだから、それなりに「時のみぞ知る」で完結はして欲しかった。

クリフトン年代記 はさらに別のタイトルで続いて行く。




時のみぞ知る(上): クリフトン年代記 第1部 ジェフリー アーチャー (著)  Jeffrey Archer (原著)  戸田 裕之 (翻訳)


19/Dec.2013
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