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Nov.2017
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電通の深層 大下英治

ちった想像しないわけでは無かったが、電通いう会社、ここまで巨大権力を握っていたのか。

良くドラマなんかでも警視総監のツルの一声で追及にストップがかかったり、大物政治家が絡んでいるから、もみ消しにあったり、と言うパターンはヤマほど出てくるが、「電通が絡んでいるから、これ以上追いかけられない」なんてストーリーにお目にかかったことが無い。

考えてみれば当たり前。
テレビでドラマが放映されるような時間帯の大半は電通が買い取っている。

メジャーな週刊誌や出版社で電通のお世話になっていないところを探す方が難しい。

広告業界は一位が電通で二位も三位もいない。かろうじて五位か六位に博報堂が存在する。
同じ業種の一位メーカーの広告も電通。ライバルであるメーカーの広告も電通。三位も四位も電通。
海外では考えられないような事がまかり通っている。

その超大手の電通で起こった新入女子社員の過労死事件。
これを機に電通の暗部が表に出て来る。

今、政府が打ち出している働き方改革なる政策、あの事件が発端かもしれないほどに、インパクトの大きいものだった。

と、まずは今の状況が記された後に、著者がかつて著した「小説電通」という本がそのまま、転載されている。
これはもう30年以上前の本なのだが、よくぞ出版する会社があったなぁと思える内容。
登場する会社名も実名でこそないが、一文字読み替えれば、あの会社か、とわかるようなほぼ実名に近い書き方。

スキャンダルを起こすも揉み消すも電通のさじ加減次第。

スキャンダルを発表させておいてそれを揉み消す代わりにその会社の広告を一手に握ったり、という電通の暗部をえぐりながらも、ネットの普及に伴い、ネット広告の比重が増えれば増えるほど、その寡占状態は維持できなくなる。
という独占状態から変わりつつある状態についても触れられている。

過労死事故以後、電通社員の心の支えであった電通「鬼十則」を社員手帳から削除するという動きに対して、元電通マンが、どうなってしまうのか、という嘆きの声をも掲載している。

「鬼十則」とはさぞかし怖い事が書かれているのかと思いきや、存外、為になる事が書かれている。

・仕事は「創る」もので与えられるものではない、とか、
・仕事は先手先手を働きかけろ。受け身でするな、とか。
・難しい仕事を選べ。それを成し遂げてこそ進歩がある、とか。

「取り組んだら放すな、殺されても放すな」この一文だけが過剰に取り上げられてしまった。

十則には創業者の思いがある。
ガリバー企業となってしまい、誰もが媚びへつらうので、尊大となり、だんだん創業者の思いとかけ離れてしまったことそのものが問題だったのに。

働き方改革もいいけれど、広告業界が時間外労働を一切しなくなるなんてあり得るのだろうか。

働く時間が長けりゃいいなどとはこれっぽっちも思わない。

だが、どんな業界にもモーレツでガムシャラで行動力のあるヤツ達が引っ張っていったんじゃないのだろうか。
定時になったら、目立たないように消灯してこっそりしてしまうような企業から、何か人を引きつけるような仕事が生まれるのだろうか。
電通の衰退のみならず、日本企業全体から徐々にバイタリティが無くなって行かなければいいのだが・・・。

電通の深層 大下英治 著
22/Aug.2017