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読み物あれこれではスタッフが各々勝手きままな読書感想文を書いております。暴言・無知・恥知らず・ご意見はいろいろお有りでしょうが、お気に召した方だけお読み下さい。
   
Nov.2017
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海の見える理髪店 荻原浩

読み終えて、思わず散髪屋に行きたくなってしまった。
この本では床屋と呼んでいる散髪屋というところ、なかなか贅沢な場所だったんだ、とあらためて思った。

ひげをあたってもらう。
髪を洗ってもらう。
散髪屋へ行けば当たり前のことだと思っていたが、なんて贅沢だったんだ。

この本の主人公氏は普段は美容院へ行っているらしい。
美容院では髭をあたったり、髪を洗ったり、肩をポンポンポンと叩いてくれたりしないのだろうか。

この散髪屋のオヤジも話がまた、戦前から始まって、戦中、戦後と床屋としての自分がどう歩んできたかを語って行く。

こういう話を毎回聞かされんだったら、この散髪屋はちょっと辛いかも・・。
と思いつつ読みすすめると、別に誰にでもこんな話をするわけではないらしい。

やけに長い話のようでありながら、語り終えて時計を見ると、椅子に坐ってからちょうど1時間。
散髪も洗髪も髭剃りもマッサージも全部終わっている。

さすが、職人。

他にいくつかの短編が収録されている。
短編同士にほとんど類似性はない。唯一あるとすればどこかで家族が登場するということぐらいか。

「いつか来た道」
見栄っ張りで自己主張の強い母親に久々に会ってみると、認知症の気が・・。

「遠くから来た手紙」
一旦結婚して家をでた女性というもの、いつでも気軽に実家に帰ってこれるものだと思っていたが、弟が結婚しその夫婦が実家で親と同居ともなると、一日二日の帰省はまだしも、少し永くなると居場所がなくなる。とまぁ本編の狙いとは別だが、その当たり前といや当たり前のことを気づかせてくれた。

「空は今日もスカイ」
英語を習いたての女の子が、なんでも言葉を英単語にしていく。
シーシーシー彼女が海を見る。

「時のない時計」
これも理髪店にような職人技師の話かと思ったがちょっと違った。

「成人式」
娘を亡くした父母が、娘の代わりに若作りをして成人式会場へ。


なんだかんだと言って断トツに「海の見える理髪店」が良かった。

さぁ、至福の時間を過ごしに、散髪屋へ行って来ようか。


海の見える理髪店 荻原浩著
04/Jul.2017
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