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読み物あれこれではスタッフが各々勝手きままな読書感想文を書いております。暴言・無知・恥知らず・ご意見はいろいろお有りでしょうが、お気に召した方だけお読み下さい。
   
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家族の言い訳 森 浩美

家族をテーマにした短編集です。
親子の話や、夫婦の話。

家族に対して、大切に思うから言えなかったり、
家族という関係に甘えてしまうから言うべきでないことを言ってしまったり、
いつか言おうと思っていたら言えなくなってしまったり。
「あーわかる。」と思うと同時に、
家族に対してもっとしなくてはいけないことがある気がして焦りました。

印象に残った一編の
ざっとあらすじ。

経営する会社が倒産し、夫が蒸発してしまいます。
しばらくは子供と二人、どうにかやっていこうと頑張りますが、
ある日疲れ果てて子供をつれて旅に出てしまいます。
電車に揺られ、呆然としていると、
気づかないうちにすぐ側にいる子供が熱を出していました。

途中下車したところで小さな宿を見つけます。
様子のおかしい親子に気づいた宿の女将さんは、
特に何を聞くでもなく、自分の家族について話します。

夫について、子供について考え、
溜め込んでいた苦しさを吐き出して、
主人公はもう一度頑張って生きていこうと思えるようになります。


主人公は、出会ってから夫の会社が倒産するまで、
一緒に苦楽を共にしてきたのに、肝心なときに支えになれなかったことや、傷つくとわかっていたことを言ってしまったことを悔やみます。
でも、『まさか自分の側からいなくなるとは思わなかった。』という気持ちが根底にあります。
この感情こそが家族への甘えや、言い訳を生んでしまうのだと思いました。

そして、長く連れ添った夫婦が互いをうまく思いやれなかったにも関わらず、
熱を出したまだ小さな子供は、母親に自分が熱を出してしまったことを謝り、
父親が出て行ったのは自分のせいではないかと心を痛めます。

家族の中に存在する感情はたくさんあって、
とても難しい。
でも理解したいし、理解されたい。
うまく伝えられるかはわからないけれど、
家族に伝えたいことがあふれてくる物語でした。

家族の言い訳  森浩美 著


14/Feb.2011
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