読み物あれこれ(読み物エッセイです) 検索エンジン MMI−NAVI

読み物あれこれではスタッフが各々勝手きままな読書感想文を書いております。暴言・無知・恥知らず・ご意見はいろいろお有りでしょうが、お気に召した方だけお読み下さい。
   
Nov.2017
S M T W T F S
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
著者検索
+ ア行
+ カ行
+ サ行
+ タ行
+ ナ行
+ ハ行
+ マ行
+ ヤ行
+ ラ行
+ ワ行
作品検索
+ ア行
+ カ行
+ サ行
+ タ行
+ ナ行
+ ハ行
+ マ行
+ ヤ行
+ ラ行
+ ワ行
死もまた我等なり ジェフリー・アーチャー

クリフトン年代記の第二部。

第一部の「時のみぞ知る」では、貧しい家庭で育ったハリーがオックスフォード大学に入学し、グラマー・スクール時代から親友だったジャイルズ(彼はバリントン海運という大企業のオーナー家の御曹司)の妹エマと愛し合い、結婚直前まで行くのだが、ハリーの母親とジャイルズの父、ヒューゴー・バリントンの間に生まれたのが自分かもしれないことが発覚し、結婚を断念してアメリカ行きの貨物船に乗る。
その後、貨物船はドイツのUボートの魚雷で沈没。
ハリーは生き残るが貨物船で一緒だったアメリカ人のブラッドショーを名乗る決意をする。
ところがブラッドショーは逃亡兵の上、殺人の容疑者だったために上陸と同時に逮捕。
ここまでが第一部。

かなり気を持たせたものだ。
まさか、主人公をいきなり刑務所に入れてしまうのか?というところで一部が終わるので否応なく二部を読むことになる。
そしてそのまさかで、主人公はいきなり刑務所に入れてしまうのだった。

それでも優秀な彼は刑務所でも図書係として卓越した能力を刑務所の所長に認められる。
やがてその刑務所で送った生活を綴った日記が他人の手によってベストセラーとなる。
エマはその日記を読み、ハリーが生きていることを確信する。

また、友人のジャイルズは本国英国軍の士官として前線で。
方やハリーは米軍の一員として、こちらも命がけの活躍をする。

この二部ではこのシリーズで唯一で最悪の悪役であるヒューゴー・バリントンも終焉を迎えるので、一応物語としては完結させてもいいだろうに、上下巻を終えて尚、今後のくすぶりの種を残したままの終わり方をする。

それにしてもこのヒューゴー・バリントンという人、父も母も元妻も息子も娘も親戚一同揃って、悪役のあの字も無いような健全な一家の中に居ながら、たった一人だけ小物で臆病者で悪知恵しか働かない。
実際に悪知恵どころか悪事に手を染める。
どうにも一人だけ浮きすぎている。

ハリーの血筋を問題とするよりも、ヒューゴーの血筋を調べた方がいいんじゃないかと思えてしまう。

いずれにしろ、第一部上下で完結せず、第二部上下でも完結しなかったクリフトン年代記、またまた第三部待ちということに・・・・・。





死もまた我等なり  ジェフリー・アーチャー 著


25/Mar.2014
時のみぞ知る ジェフリー・アーチャー

イギリスの港町のごくごく貧しい家庭で育ったハリーという少年。
港町をほっつき歩くことが好きでなかなか学校へと足が向かなかったハリーだが、 オールド・ジャック・ターという謎の老人に出会ってから、彼の元で好奇心を旺盛に勉強することとなる。
勉強も聖歌隊での歌も高く評価され、お金持ちの子弟しか入れないような学校へと進学し、寄宿をする。

ハリーの進学の陰には母親の涙ぐましいほどの努力があったわけだが、彼女は努力だけの人では無かった。実に才能豊かな女性だったのだ。

戦争で亡くなったと聞かされていた父親についての真実が、だんだんと明らかになって行く。

富裕層の息子達からいじめや嫌がらせを受ける中、同じ大富豪の御曹司ながら彼をかばってくれ、家にまで招待してくれる友人。
その友人の家族の中でも何故かその父親だけがハリーに冷たい。

そんなことの理由もやがて明らかになっていく。


ジェフェリー・アーチャーが書いた「全英1位ベストセラー」と聞いて、久々にジェフェリー・アーチャーの長編を味わおうと思ったが、なんと上・下巻を読み終えてもまだまだ物語は序の口といったところ。


クリフトン年代記 第一部 とあるので、続きものであることは覚悟していたが、それでも上巻・下巻とたっぷり枚数を使っているんだから、それなりに「時のみぞ知る」で完結はして欲しかった。

クリフトン年代記 はさらに別のタイトルで続いて行く。




時のみぞ知る(上): クリフトン年代記 第1部 ジェフリー アーチャー (著)  Jeffrey Archer (原著)  戸田 裕之 (翻訳)


19/Dec.2013
チェルシー・テラスへの道 ジェフリー・アーチャー

ジェフリー・アーチャーの書くサクセスストーリーです。
ロンドンの下町で祖父が手押車で野菜を売る。それを毎日手伝い、祖父の手ほどきを受けながら子供ながらに一人前の信頼される手押車の野菜売りになって行くチャーリー。
そのチャーリーがチェルシー・テラスで店を構え、そのチェルシー・テラスでどんどん店を増やして行く。

ジェフリー・アーチャーのサクセスストリーはアメリカを舞台にしたものが多いのですがこの物語はアーチャー氏の本来の母国である英国が舞台です。

この本、読む人の視点によって複数の主題を持っているように思えます。

起業をし、会社を大きくというところに視点を当てる人には、チャーリーのあの商売に対するバイタリティや、目のつけどころの違いに興味を持つでしょう。
他の人と同じものを同じ風景を見たてとしても片や漫然と見ている。
片やチャーリーのように常に何か商売に活かせないのか、という目で見ること違い。
また毎朝四時に起きて誰よりも早く仕事を開始するチャーリーの姿。

不動産的な見地から商売を見る人にはチャーリーはどう映ったのでしょうか。

主婦の店ダイエーは千林の商店街の露天から始まったといわれます。
でもダイエーを興した中内氏は千林の商店街こと如くを買い占めようなどとはとはしませんでした。
あっちこっちにチェーン店を増やしていった。
チャーリーは何ゆえ、チェルシー・テラスの店を全て買い取ろうとしたのでしょうか。
他の場所であればいくらでも買えたでしょうに。

足の無い時代だったから、自分の足を運べる範囲で目を光らそうという意思だったのか。それとも、自分の生まれ育った下町と比較してチェルシー・テラスという場所は特別な意味があったのか。どうも後者のような気がしますが、それゆえに高い買い物をしてしまうこともしばしばです。


愛国心というものに主題を見出した人もいるでしょう。
いざ、イギリスが戦争に参戦したとなると、大好きな商売を放り投げて志願して従軍してしまう。
一度目は手押車の商売がようやく順調になって顧客もついた時点での第一次大戦。
二度目はチェルシー・テラスでの商売がさぁこれからと言う時期で、もう第一線で戦うことすら危ういような年齢になってからの第二次大戦への志願。

アメリカの大統領選でも候補者に徴兵を回避した事実などがあると、その致命傷は女性問題の発覚などよりもはるかに大きいと言われます。選挙民がその事を何より重く見ているということなのでしょう。

今回、軍歴のないオバマが軍歴のあるマケインに大勝したのはかなり異例なことで、ブッシュのイラク政策への批判の意味もあるのでしょうが、歴史は変りつつあるということでしょうか。
いずれにしても戦後日本ではほとんど考えられないことではありますが。


また、経営からの身の引き方という視点もあるでしょう。
店や会社が大きくなって行くにつれ、もはや自分だけの会社では無くなり、取締役会が経営方針を握って行く。
行く末は誰かに経営そのものも任せて行くという当然と言えば当然の話ながら、手押車で我が店を築いたチャーリーには違和感があります。

一代で企業を興した人にはいろいろあります。
本田総一郎のようにさっさと引退しておいて、大好きな車作りをレーシンングの車作りに発揮して行ったような人もいれば、なかなか第一線から離れられずにバブル崩壊で散った人・・・。

そしてなんと言ってももう一つの視点はアーチャー氏の物語に良く登場する敵の存在という視点。
執念深く恨み、憎み、徹底的に邪魔をする。
元はと言えば誤解からなので、最終的にはわかり会えるという類の話が他の作品には良く見られるパターンですが、この物語に登場する老婆だけはそう簡単では無いのでした。
生きている内の和解どころか、死んだ後にまでも敵対する。

チャーリーが主人公なのはあたり前なのですが、章毎に別の人の視点で別の人が語り手となって続いて行くのもアーチャー氏の小説ではよくあるパターンです。

時にはそのテンポが早すぎて返って分かりづらかったりすることもありますが、この小説の場合はそういうわかりづらい、という心配はないでしょう。

チェルシー・テラスへの道(As the Crow Flies)  ジェフリー・アーチャー(Jeffrey Howard Archer) 著 永井淳訳


17/Nov.2008
十一番目の戒律 ジェフリー・アーチャー

この本、数あるジェフリー アーチャーの作品の中でもピカ一なのではないだろうか。
CIAのエージェントであるコナー・フィッツジェラルドに課せられた現役最後の役目、反米を売り物にする当選確実のコロンビア大統領候補の選挙期間中の暗殺。
この指令は、CIAのヘレン・デクスターという女性長官から発せられたもの。
この女性と副長官との会話などを読むと世の中に起こること全てが陰謀と謀略によるものではないか、とさえ思えてしまう。

自国の大統領でさえ、次の選挙まで間の短命な指導者。そんなものに追随するつもりなどさらさら無く、米国で最も権威、権力があって必要不可欠な存在は自分だと信じて疑わない。
アメリカの大統領が短命だって?でも任期は4年、再選時は現職有利な事が多いので2期8年間、その座に居る事が多いというのに。
それでも女性長官から言わせれば、大統領選挙は4年に一回でもその間に中間選挙があるので、2年に一回は大統領は国民に媚を売らねばならない。
それに比べてCIA長官の地位は選挙なんて無関係。
その気になれば20年でも30年でもその地位に踏みとどまれる。

4年〜8年その地位に居る指導者でも「いずれは変わる」などと思われる程度なのだとしたら、日本の指導者は官僚からいったいどう思われているのだろう。
一年毎に交代する首相。1年に何人も入れ替わった農水大臣。
麻生政権が組閣してわずか5日。たったの5日で辞任してしまう国交省大臣。
各省庁の役人がそのリーダーシップに引っ張られて、なんてどう考えたって考えられない。
同じ9月。ほんの少し前に短命で去って行った大田農水大臣には職員から花束贈呈があったそうだが、この国交省大臣に関してはそんな事も行われなかっただろう。
まぁ、その花束代にしたって官僚が身銭を切っているとは思えない。どうせ税金なのだろうから、花束贈呈などという悪しき慣習も終わらせるに越したことはないが・・・。

話が少し横道に入ってしまったが、民意が選出した政治家の指導者に対する尊敬も信頼も命令服従の気持ちのかけらもない人間がそれぞれの省庁の実権を握っていることと、CIAの長官職に就いていることはある種共通するものがあるだろう。
もちろん官僚が暴走するよりもCIA長官が暴走する方がはるかに恐ろしいのだろうが・・・。

彼女の一言はありとあらゆる捏造を可能にする。
その気になればどんな人間のプライバシーだって知り得てしまう。
どんな政治家でも彼女がその気にばれば失脚させることなど容易いこと。
それまで存在した人間の生きた痕跡を消してしまうことだって行えてしまう。

これはもちろんフィクションだが、冒頭のコロンビアでも過去、選挙中、在任中を問わず、暗殺された指導者、国会議員などいくらでも居ただろう。
都度、麻薬を扱う非合法組織が仕組んだものとして片付けられた。
コロンビア以外でもそんな例はいくらでもあるだろう。
自国のケネディ暗殺にしてもそう。
このCIAの女性長官にかかればそんなことはいとも容易く行えてしまえそうなところがなんとも不気味である。

このCIAの女性長官に負けず劣らず、民主主義にて選出された指導者を小ばかにしているのが、ロシアの新大統領。
彼は就任した後に選挙は二度と行わないつもりでいる。
この本が出版されたのは1998年。まだエリツィン政権の時代だが、その先のプーチン政権の誕生を予見しているかの如くである。

両者とも「誇りある強いロシア」の再建を目指す。
小説に登場するゼリムスキーロシア新大統領は、スターリン、ブレジネフの再来と呼ばれることを喜ぶが、現実のプーチンはむしろソビエト誕生前の帝政ロシア時代の方を目指しているのかもしれない。
ソビエト時代に消えていたコサック兵なんかもプーチンの時代になって再来した。
秘密警察を再結成し、それが暗躍していることを世界に知らしめたのは2006年の女性ジャーナリストの暗殺だろう。
そして北京オリンピックの開幕と共に開始されたグルジア侵攻。
プーチンは任期8年で大統領の座を後任のメドヴェージェフへ引き渡したが、プーチンの傀儡政権とも呼ばれている。
生きている限りは政権TOPの座に、という物語のゼリムスキーと似ていないだろうか。


コロンビアの暗殺事件への関与を大統領から疑われたCIAの女性長官は、CIA内で最も有能なエージェントであるコナーの存在を消し去り、なきものするための画策を行うが・・・。
逆にCIAで最も有能なエージェントなだけにそんなに容易くなきものにされるのだろうか。
その舞台がひっきりなしに変わって行くので、読む側に若干の煩わしさはあるかもしれないが、逆にそれはそれで物語をテンポ良くさせてもいる。

とにかく最後の最後まで読みどころ満載な読み物なのだ。

十一番目の戒律 ジェフリー アーチャー (著),The Eleventh Commandment Jeffrey Archer (原著), 永井 淳 (翻訳)


29/Sep.2008
盗まれた独立宣言 ジェフリー・アーチャー

この本が書かれた時期は、第一次湾岸戦争の後の頃。
9.11が起こるより前の頃。
当然、イラクのサダムフセインは大統領として健在である。

この本を読むと9.11があろうと無かろうと、大量破壊兵器があろうと無かろうと、その後のイラク戦争は起こるべくして起こったのだろうな、などと思えてくる。


アメリカにとっての独立宣言の原著とはどんな存在なのだろう。
世界の国々の中ではアメリカは歴史としてはまだ浅い国の範疇に入るだろう。
そのアメリカ国民にとってのアイデンティティの象徴の様な存在なのではないだろうか。
事もあろうにサダムフセインはその独立宣言の原著を盗み出し、国民の目の前でそれを焼き捨ててしまおうという計画を立てる。

ジェフリー アーチャーをして、そういうストーリーを書かせる背景には、湾岸戦争の結末が中途半端なものだったという英米の民意の表れなのかもしれない。

湾岸戦争当時の多国籍軍側の各国首脳、アメリカは先代のブッシュ、イギリスのサッチャー、ミッテラン、ゴルバチョフ・・それぞれ皆、引退してしまっているのにも関わらず、負けた側のはずのサダムフセインはそのまま独裁政権を維持し続けている。
一体全体勝ったのはどっちなんだ。
何故、あの時、サダム政権を倒すまでやってしまわなかったのか、そんな時代背景や民意がこの本を書かせたのかもしれない。

イスラム圏の国民は大抵アメリカが嫌いなのと同様にアメリカ人にとってはサダムフセインだけは許せない存在の一人だったのだろう。

サダムフセインは今でこそ過去の人だが、これが書かれた時は現役のイラク大統領だったはず。その現役の一国の大統領をもちろん実名で小説という範疇の中で犯罪的行為者として書いてしまうなんてこと、有りだったのか。

この本、独立宣言を盗むという発想も奇抜ながら、その盗む計画内容も巧妙でなかなかに面白く読み応えがある。

また暗躍するスパイ、イスラエルのモサドやアメリカのCIA、イラクへの潜入やイラク国内での反フセインの部族の人たち・・・いろいろと読み応えのある本である。

07/Jun.2008
    12 >>