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読み物あれこれではスタッフが各々勝手きままな読書感想文を書いております。暴言・無知・恥知らず・ご意見はいろいろお有りでしょうが、お気に召した方だけお読み下さい。
   
Nov.2017
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みつばの郵便屋さん 小野寺史宜

郵便屋さんという職業、あまりに風景に溶け込みすぎていて、その人そのものにスポットがあたることが少ない職業の一つだろう。

登場する郵便屋さんは、小さな親切の積み重ねで、皆を幸せにしていく。

あるベランダの洗濯物が風で飛ばされて行ったら、たいていの人はどうするか。
「あらら」とは言ってもわざわざ届けに行ったりはしない。
郵便屋さんが遭遇したのは、飛んで行った女性ものの下着だった。
それはさすがに拾って届けに行くのははばかられ、彼は、洗濯物が飛んで行きましたよ、っと伝えるにとどめる。

ちょっとした気遣いだ。

荷物の誤配が有ったので取りに来い、という電話。
行ってみると、郵便屋さんの荷物ではなく、他の宅配業者のの荷物だった。
彼は嫌な顔一つ一つしないが、本来の持ち主に運んでよ、という依頼だけはお断りする。

はがきなど着いて当たり前。
手紙など届くのが当たり前。
それはすごいことだ、と思われずに当たり前と思われることのすごさ。
それは彼一人の成果ではなく、永年の郵便屋さんたちが築いて来た信用のなせる業だ。

何やらほっこりとした気持ちにさせてくれる本である。

とはいえ、実際には時間指定できっちりと届けに来る宅配業者さんたちの方がすごい、と思う事しばしばなのだが・・
いえいえこれは蛇足でした。


みつばの郵便屋さん  小野寺 史宜 著
15/Dec.2016
ひりつく夜の音 小野寺史宜

読後即の感想としては、もうJAZZでお腹いっぱい、という感じかな。
そんなにJAZZに詳しいわけでも、ないのに。

主人公は40代後半のJAZZのクラリネット奏者。
ほとんど活動らしい活動はしておらず、週に数回教室で教える程度。

この本の前段からはかなり節約生活の知恵が満載。
豆腐はそのまま醤油もかけずに食べ、最後はパックの中に残った汁まで飲み干す。

平日の午前に行くバイキング、ここでの常連さんと後に親しくなっていくのだが、ここで2時間3時間かけてゆっくりと新聞を隅から隅まで読みながら、何度も何度も取りに行って、残さず食べ、その日の昼食は抜く。

彼の一番のお気に入りがに食パンにちくわを挟んだだけ、という昼食。

その彼が、昔の彼女の息子と知り合ってから変わり始める。

いきなり、警察から引き取りに来て下さいますか?
と本人と初対面の人に電話がかかって来るところも驚きだが、2回も引き取りに警察へ向かってしまう彼もかなりのお人良しだ。

その青年は、真っ直ぐなだけなのだが、その真っ直ぐさがトラブルを招くという危なっかしい男。

彼には天性のミュージシャンとしての素質が有り、彼の弾くギターに主人公氏のクラリネットも触発されて行く。

特に音楽に関係の無い人間にもこれだけ読ませてくれるんだから、JAZZ好きの人なんかにはたまらない一冊なんだろうな。


ひりつく夜の音  小野寺 史宜 著
21/Nov.2016
ROCKER 小野寺史宜

主人公から「エイくん」と呼ばれる高校教師。
こういう高校教師最高だと思います。
何と言ったって相手にしているのは高校生。
その高校生の素行がどうだろうが、本来そんなもの高校の先生の知ったこっちゃないだろうに。
何か事ある毎に教師と学校がマスコミに平謝りする風景をあまりにも見慣れてしまっていることに気がつく。

この「エイくん」は、そういう意味では本来の高校教師なんじゃないのだろうか。
部活動の監督を依頼されたって、そんなことが俺の知ったことか!と一蹴。

部屋にはエッチビデオが散乱していようが、そこへ高校生が訪ねて来ようがおかまいなしだ。

それでもなんだかんだとストーカーをしている高校生が結局真っ当な高校生になってしまうのだから、プライベートはノータッチなようで、結局その影響力が発揮されている。

主人公はその高校教師のイトコにあたる女子高校生なのだが、この人の個性も強い。
人との間に壁を作ってその中には容易に立ち入らせない。

この主人公と「エイくん」との掛け合いがテンポも良くなかなか愉快で楽しい。

「人に教えてもらうことに意味はない」
などとギターを教えることをいろいろな屁理屈をこねて拒否したりするのだが、案外に正鵠を得ている発言だったりする。

主人公もまだ若いので将来何を目指すのか、などの考えはない。
この高校教師も何かを目指しているわけではない。
せいぜい場末の喫茶店のマスターになれればいいぐらいに思っている。

そこへ異質な登場人物が現れたりする。
女性格闘家。

「何かを目指す人間というのは、やっぱ違うんだよ」
と高校教師。

この人、発言だけを聞いているといい加減極まりないように思えてしまうのだが、いつもツボをちゃんと押さえているのには感心する。

結婚詐欺師を見抜いてしまったり・・・etc。

ちなみにこの本、ポプラ社小説大賞優秀賞受賞作なのだそうだ。

この本を最後まで読むとそのあと味の良さと共に気がつかないうちに「スタンド・バイ・ミー」を口ずさんでいる自分に気がついたりする。



ROCKER  小野寺史宜 著 第3回ポプラ社小説大賞優秀賞受賞作


01/Feb.2010
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