読み物あれこれ(読み物エッセイです) 検索エンジン MMI−NAVI

読み物あれこれではスタッフが各々勝手きままな読書感想文を書いております。暴言・無知・恥知らず・ご意見はいろいろお有りでしょうが、お気に召した方だけお読み下さい。
   
Nov.2017
S M T W T F S
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
著者検索
+ ア行
+ カ行
+ サ行
+ タ行
+ ナ行
+ ハ行
+ マ行
+ ヤ行
+ ラ行
+ ワ行
作品検索
+ ア行
+ カ行
+ サ行
+ タ行
+ ナ行
+ ハ行
+ マ行
+ ヤ行
+ ラ行
+ ワ行
銀二貫 高田 郁

かつて大阪高槻のかなり山の方へ入ったところでの寒天作りを見学に行ったことがある。
その地域の寒さが寒天作りに適していたことと、商都、大阪への水路がその地での寒天作りを盛んにさせたというが、見に行った時には現在ではその寒天作りを行うところもほんの数件しか残っていないと言われたっけ。
この本にはその高槻の寒天作りの起源を作ったと思われる人物も登場する。

この物語、大坂天満の寒天問屋の話。

寒天問屋の店主が目の前で繰り広げられる武士の仇討ちのやり取り見て、武士に対して仇討ち銀二貫で買うと言い出す。

仇討ちを買うと言っても既に討つ側は相手を斬りつけている。
そのとどめをさそうとするのをその討たれた側の武士の子供が身体を張って守ろうとしているのだ。放っておけば、その子供まで斬られてしまう。

寒天問屋の店主は、銀二貫で武士の子供を救い、番頭の反対を押し切って丁稚として雇い入れる。

銀二貫というのは金にすれば三十三両に相当するのだそうだ。
銀二貫も金三十三両も現在の貨幣価値ではどのぐらいかはわからないが、その後何年もかかってようやく貯めることが出来ることを考えれば、かなり大きな金額に相当することはわかる。


この本では大阪の町が何度も大火で焼かれる。

焼かれても焼かれても立ちあがって行く人達のたくましさのみならず、暖簾を背負っている男たちの矜持が見事に描かれている。

半生かけて貯めるほどの銀二貫の使い方たるや、見事と言うほかない。

武士の生き様を書いた本は数あるが、大阪商人の美しい生き様を描いた本にはそうそうお目にかかれない。


この本は大阪商人の矜持と彼らが天満の天神さんをいかに大事に思っているか、を教えてくれる。



銀二貫 高田 郁 著


08/Jan.2014