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Sep.2017
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DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件 西尾 維新

DEATH NOTEのノベライズもので、西尾維新がどんな切り口でDEATH NOTEを切って来るのか、楽しみでした。
この本にはデスノートというノートは出て来ません。
主人公は DEATH NOTE の本編では脇の脇役にすぎなかった美空ナオミ、とL。
内容は、デスノートがこの下界へ現れるより以前に発生した「ロサンゼルスBB連続殺人事件」。
デスノートとは全く関係の無い、Lとワイミーズハウスの物語と言ってもいいでしょう。

キラに関しては
「単なる恐怖政治を敷こうとした殺人鬼」
「馬鹿馬鹿しいほど幼稚極まりない」
と切って捨てただけでまるで相手にしていない。
賢いヤツほど自らの力を隠すのが当たり前なのに、キラはそういう力がある事を公開する自己顕示欲の塊で、ノベライズに値しないほどあわれなヤツと言うわけです。
ほどんど同感ですね。
私こそが新世界の神だ、と言うあたりはもう壊れちゃったのかな、とも思いますよね。
それに、ひっそりと悪人の名前だけ書いていればまだしも、自分を捕まえようとする人間まで殺そうとして、どんどん捜査の輪を自ら狭めてしまうという愚かさ。

また、人が人を殺害する、という事は大変な事なんだ。人はそう簡単に死なない。
それをノートに名前を書くだけで行ってしまうという事がいかにルール違反か・・・。
という記述には殺人に対するルール違反の裏に推理物を書く人間にとってのルール違反、「つまり人が人を殺害するについていかに綿密な計画作りをし、根拠付けをし、どうやったらそんな事が出来るの?というところを最後に種明かしして行く、逆に言えばそれだけ緻密に考え抜いた結果である、というのに、それをたったノートに一行名前を書くだけでというのは書く立場からもルール違反」と作者は言いたいのかもしれません。
実際にこの「ロサンゼルスBB連続殺人事件」は実に緻密な組み立てがなされています。
『クビキリサイクル』という見事な推理もので世に出て来た西尾氏ならではの作品だと思います。

あと、「本当の名前」というものへの問いかけもあったのではないかと考えるのは考えすぎでしょうか。
デスノートへ書く名前は偽名ではいけない。という決まりがありますが、本当の名前とは一体なんなんでしょう。Lはあるときにはエラルド・コイル、ある時にはドヌーヴ、ある時には・・・と探偵の名前を使い分け、それはエル・ローライトという名前よりもよほど名前として通っていた人なのですよね。
本当の名前とはいったい何か。
戸籍上の名前?
つい先日、20歳になるまで戸籍を取得していなかった男が逮捕された。
彼には書かれる名前が無いのか?
また世界には戸籍登録されていない人なども大勢存在するでしょう。
彼らには書かれる名前は無い?
名前とはその名前を聞いてその人を特定出来るもの。秀吉は木下藤吉郎か羽柴秀吉か豊臣秀吉か、どれもその時々で全部正式な彼の名前でしょう。
ではLはどうでしょうか。世界の大半の難事件を片づけたとされるL。
この時点ではLと名乗っている以上、Lが本当の名前では何故いけないのでしょうか。
別にコミック相手に熱くなっているわけではありません。
このノベライズはノートに書いただけで殺人を犯すという手段と同時に「本当の名前」を書くという行為、あたりも併せて指摘したかったのでは?
だからこそ、BBという「名前」というものに拘った殺人事件を描いたのではないでしょうか。
この作品は言うまでも無く推理小説です。しかもかなり緻密な。これを書く事で殺人事件というものはこういう緻密なものなんだよ、というお手本というより挑戦としてのノベライズ、ととらえるのは少々うがった見方でしょうか。
西尾氏自身が『DEATH NOTE』の一ファンだとどこかに書いていたのを記憶していますので、やはりうがちすぎですよね。

最後に死神の目(人を見るだけでその人の本当の名前と死ぬ日が見えてしまう目)を持ったBBには美空ナオミの死ぬ日はいつに見えていたのでしょうね。
言わずもがな、デスノートも死神の目も死神の道具。
デスノートで殺される日が見えていたなんてことがあったとしたら・・・

やめておきましょう。
Self-contradiction の世界に陥ってしまいます。

DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件  西尾 維新 (著)


23/Feb.2007