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読み物あれこれではスタッフが各々勝手きままな読書感想文を書いております。暴言・無知・恥知らず・ご意見はいろいろお有りでしょうが、お気に召した方だけお読み下さい。
   
Oct.2020
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ホワイトラビット 伊坂幸太郎

仙台の閑静な住宅街の一戸建てで起こった立て籠もり事件。
犯人の要求はある男を連れて来る事。
その男の特徴はやたらとオリオン座に詳しく、語りだしたらとまらないということ。

今回の話には
オリオン座の話がやたらと登場する。

もう一つ「レ・ミゼラブル」もやたら登場する。

「レ・ミゼラブル」を読んだ人は多いだろうが、ちゃんと内容を覚えている人がどれだけいるかと思うと、心もとないが、この中の登場人物たちはかなりの「レ・ミゼラブル」通だ。
私も中学時代に読んだし、ジャンバルジャンの名前ぐらい覚えているが、そのセリフまでなんて出てくるはずもない。

ホワイトラビットと言う小説、なんという奇想天外な構成なんだろう。

時間が前へ行ったり、後ろへ行ったり、こんがらがることこの上ない。
それでも最終的にはちゃんとわかるようになっているところが伊坂幸太郎さんの巧みなところ。

発生時刻の順に話が進んでいけば、なんのことはないのだが、時間を前へ後ろへと行ったり来たりすることで、何度もどんでん返しのようなことが起きる。

と言いつつも二度読みして、なるほどね、とあらためて途中まで作者のたくらんだしかけにまんまとはまっていたことに気が付くのだ。
どこをどうピックアップしようにも全部ネタバレになってしまいそうで内容はほとんど書けない。

おそらくこれだけ何度も登場させた以上、「レ・ミゼラブル」の手法を被らせたのだろうが、「レ・ミゼラブル」でそんなに行ったり来たりがあったんだったっけ。
あまりに昔に読みすぎてもう覚えてない。

誘拐ビジネスという新たな犯罪手法を編み出す輩が出てくる。

「誘拐という犯罪は割に合わない」というのが一般的な見方だろうが、このビジネスを編み出した男の発想はまた違う。

身代金ウン億を要求するような拙い事はしない。

出来る範囲の事をやらせる。払っても惜しくないぐらいの金を要求したり、それは金でなくても、その人の得意分野で出来る範囲のことをやらせる。

投資家なら特定株を買う、もしくは売る。
何かの賞に推薦できる立場なら誰かを推薦する、もしくはしない。
手術をする立場なら、オペをする、もしくはしない。
そういう行為が身代金代わりだ。

伊坂さんがこれを世に出すことで、その新たなビジネスがはびこらねばいいのだが・・・。


ホワイトラビット 伊坂 幸太郎著<br />
09/Oct.2020
死に神のレストラン 東万里央

「ほっこり・じんわり大賞」受賞作とのことで読んでみました。

死に神のレストランって響きが悪い気がするが、そんな恐ろしいところではない。

不慮の死をとげ、この世にまだ思いを残している人がその店に入ることになっている、あの世とこの世の間にあるレストラン。

さすがに「死に神のレストラン」では響きが・・となったのか文庫版では「神さまのレストラン」に改題されたとか。
実は別物を私が勘違いしているだけかもしれません。

事故死の人の場合、その死者はまだ自分の死を受け入れていない。

婚約者とちょっとした喧嘩で結婚破棄を一旦口にしてしまった女性が、やはり仲直りをしようと彼のところへ向かう途中で事故死してしまう。

このレストランで一品だけ思い出の一品を注文することで、自暴自棄になった彼のところへ赴き、生きる元気を与えて帰って来てこころおきなく旅立つことが出来る。

そんな小編が何篇か。

ちょっと心が温まるような作品が掲載されている。

確かに「ほっこり・じんわり」にふさわしい。

不治の病を宣告された人なら、覚悟はできているかもしれないが、不慮の事故で亡くなった人の大半は何某かの心残りを残したままなんだろうな。
となるとこのレストランいつも満員御礼じゃないか、などと全然「ほっこり・じんわり」にふさわしくない感想を持った私の眼は曇っていること間違いない。


死に神のレストラン 東万里央著
08/Oct.2020
AX 伊坂幸太郎

伊坂幸太郎の作品には何度か殺し屋が登場する。
今回登場するのは通称「兜」という殺し屋。

外では恐いもの無しの男が、家へ帰ると、そこまでして恐れる必要がどこにあるのか。と思うほどの極端な恐妻家。

何が食べたいと聞かれて「なんでもいいよ」という回答は一番いけない。
手がかからない、簡単にできそうなものをセレクトして回答する。
そして作ってもらった料理はどんな味でも一口でやめてはいけない。

相手の話には常に大きく相槌を打たなくてはならない。

「怒ってる?」と訊ねて「別に怒ってない」と答える場合は、基本的に「怒っている」。

会話はまず「大変だね」から始める。

という具合に妻を怒らせないためのマニュアルまで作り上げる。

妻に突っ込まれそうになるたびに息子がうまく助け船を出してくれたりする。

逆に息子からしてみれば、なんで母親にだけはあんなに卑屈になるのか、と疑問でならない。

この男、殺し屋稼業をもうやめようと思っているのだが、仕事を仲介してくる医者がなかなかやめさせてくれない。

このAXでは押し屋、檸檬、蜜柑・・などの別の伊坂本に登場した殺し屋たちの名前も登場してくるので少しうれしくなる。

途中まで読んで、どうも以前読んだことがあるような気はしていたが、類似の作品かもしれない、と読み進み、深夜デパートにデパートに来たシーンあたりでは既にその続きを知っていた。
最後近くのボーガンのシーンではっきりと蘇った。どのシチュエーションで読んだ本なのかをはっきりと思いだした。
蟷螂の斧あの時に読んだ本だ、と確信した。

そうだ。「蟷螂の斧」を所詮カマキリだなどと甘く見てはいけないのだ。
それをこのシーンではっきりと思い出した。

この男、殺し屋という物騒な商売をなりわいとしながらも、家族思いで、ひたすら優しい男の話なのだ。



AX アックス 伊坂幸太郎著
28/Sep.2020
愛なき世界 三浦しをん

三浦しおんさんと言う人、いろんな事を探求される方だ。

男の祭りにスポットをあててみたり。広辞苑を作る人にスポットをあててみたり・・。
たぶん誰も書いていない分野を開拓してみたい、知ってみたい好奇心に溢れていらっしゃるのだろう。

今度はとうとう植物だ。
植物にまで手を拡げて来たか。

正確には植物を研究する研究者にスポットをあてたわけだが、植物の研究などと言う地味な分野、果たして読み物になるのだろうか、などと余計な心配は杞憂に終わる。
人物を描写が絶妙な人なので、扱う題材が珍しかろうが、地味だろうが、なんでも楽しく読ませて下さる。

主人公はおそらく東大と思われる大学のすぐ近くにある洋食屋で働く青年。
彼が一目惚れをしてしまうのがその大学の植物学の博士課程で研究する女性。

その女性の研究対象が「シロイヌナズナ」という植物。
葉っぱはどうして一定の大きさ以上にならないのだろう。

そんなことを疑問に思う人はそうそういないだろうが、そういう事を疑問に思う人たちがいるから、自然界の謎が一つ一つ解き明かされて行くのだろう。

恋愛の話では男が女の気持ちに鈍感、というのが通例だと思うが、この研究者の場合は逆だ。彼女は洋食屋のお兄ちゃんのことは嫌いではない、むしろ好きな方だと思うが、彼女の方が男の気持ちに鈍感なのが面白い。
むしろ、それだけに彼の方も立ち直りが早い。


今、ちまたのニュースで聞かない日はない「PCR検査」。

この本には何度も「PCR検査」という言葉が登場する。

変種の遺伝子を配合させてさらにその種どうしを配合させてさらに・・と途轍もない労力をかけて最後の最後に使うのが、そのPCR検査。

今、ニュースで聞くPCR検査とおそらく同じものなのだろうと思う。

そんな研究者が最終手段で使うような検査を毎日毎日、全員やれだのとニュースで流れているのか。

こういう研究者たちはどんな思いでそのニュースを聞いているのだろう。

ちょっと、気になってしまった。

愛なき世界 三浦しおん 著
18/Sep.2020
日本兵捕虜はシルクロードにオペラハウスを建てた 嶌信彦

ウズベキスタンの首都タシュケントでかつて大地震が起こった際、3万戸以上の住宅や公共施設が倒壊し、7万世帯以上が住む場所を失ったという。

そんな倒壊、倒壊の中で唯一無傷で整然と立ち続けた建物があった。ナヴォイ劇場というオペラハウスで多くの市民の避難場所となった。

そのナヴォイ劇場を建てたのが、第二次大戦末期に日ソ中立条約を破棄し、突然攻めて来、日本が無条件降伏した後も侵攻し続けたソ連軍の捕虜となった日本兵だった。

日本兵の捕虜の多くは極寒の地シベリアで強制労働についたが、彼らはひたすら西へ西へとソ連の東の果てから西の果てまで送られて、革命から30周年の記念に建設計画のあったナヴォイ劇場という壮大な建物を建造する事となったのだ。

戦前に日本人が海外にて建造した建造物の評価が高いうわさは良く聞くが、あくまでそれらはデベロッパーによる建造物である。
彼ら兵隊になる前はそれぞれ、左官業だの建築関連に携わって来た人も居るだろうが、組織として、建築業を営んでいたわけではない。

この劇場建設の総司令官はもちろんソ連側の将校だが、実際に建設を行う部隊を取り纏めていたのは永田少佐というまだ若干24歳の青年。
今でいえば年齢的には社会人2年目の新人に毛が生えたような年齢。

彼はこの部隊の人間を一人残らず、生きて日本の地を踏まそうと決意を固め、部隊の隊員たちにもその考えを伝える。

また、この建造物に関しても「我々はソ連の捕虜ではあるが、日本人の誇りと意地にかけても最良のものを残すんだ」という強い信念と決意を持って取り組む。
世界に引けをとらない建築物の完成をこの目で見届けたいと帰国のチャンスまでも断る。

ソ連将校の言いなりになっていただけではない。
一日のノルマをこなさない捕虜には食事の量も減らされるのがソ連の決めたルールだったが、これに対して永田隊長、理詰めでソ連将校のTOPと直談判をして、平等な食事を勝ち取ったりもしている。

ウズベク人にしてみれば日本人捕虜たちは驚きの連続の存在だったであろう。
ドイツや他の国の捕虜ならば、強制的に働かされているわけなので、自ら積極的に働こうなととは到底考えないし、それが当たり前に思っていた事だろう。

日本兵捕虜は積極的に取り組みばかりでなく、楽しく働けるために様々な工夫をし、周囲のウズベク人達も楽しませようとする。

おかげでウズベク人後々まで誇れる立派なオペラハウスを手にし、日本人への感謝の気持ちを忘れないという。

我々現代の日本人は、こうやって先人たちが世界に残してくれた親日の遺産を受け継いだわかなのだが、いつまでも遺産だけでは持たないだろう。

令和の日本人も将来世代のために日本人として感謝される何かを残したいものだ。

日本兵捕虜はシルクロードにオペラハウスを建てた 嶌信彦著
31/Aug.2020
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